鉄道と船舶における燃料電池の利用に関する国際セミナー
- 国際活動
主催 | 一般財団法人 運輸総合研究所 |
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日時 | 2018/2/21(水)14:00~18:00 |
会場・開催形式 | 六本木アカデミーヒルズタワーホール (東京) |
開催概要
近年、地球温暖化や大気汚染防止に関する環境問題の高まりにより、石油の使用や、これを動力源とする内燃機関の限界が語られてきています。このような中、特に、水素を利用した燃料電池については、使用時に二酸化炭素や大気汚染物質を排出しない環境特性の利点があることから、内燃機関の代替動力源としての利用が期待されており、特に自動車分野では既に2014年より市場に投入されています。
一方、鉄道および船舶分野においては、わが国では実証段階であるものの、世界では着実に実用化が行われ始めており、今後の普及動向に注目が集まっています。
このような背景のもと、運輸総合研究所では、鉄道と船舶の両分野における燃料電池の利用について、国内外の開発状況や日本に導入した場合の経済コストや環境負荷低減の影響等について調査研究を行うため、2017年に産官学の委員からなる研究会を立ち上げて活動を行ってまいりました。
今般、当研究所で実施した調査研究の報告を行うとともに、国内外の関係者を招き、現状や将来見通しをテーマとした国際セミナーを開催いたしました。
セミナーでは、まず、研究会の委員長である横浜国立大学の河村篤男教授が基調講演を行いました。講演では、最初に、国内外の燃料電池・水素の利用実態の調査結果を紹介するとともに、わが国の鉄道および船舶に燃料電池を導入した場合の経済性分析と環境負荷低減効果について説明がありました。さらに、今後、わが国における燃料電池導入に際しての課題と提言について説明がありました。
DNV-GLのLars Langfeldt氏からは、世界の海事分野における燃料電池の利用状況について、その導入の背景とともに、現在の技術開発の状況及び進行中の実際のプロジェクトについて紹介がありました。また、船級協会の立場から船舶分野における規制の制定議論について講演を頂きました。
鉄道総合技術研究所の柏木隆行氏からは、同研究所で研究開発を実施してきた燃料電池鉄道車両について、開発経緯とともに、現在まで得られた試験結果の知見の紹介とともに、今後の計画に関して講演を頂きました。
アルストム社のAndreas Frixen氏からは、同社が2018年末にドイツ北部において世界初の商業実用運行を目指して開発中の燃料電池鉄道車両のCoradia iLintに関して、その開発背景とともに、今後のスケジュールや海外を含めた市場展開、また、水素供給の方法等について講演を頂きました。
東京海洋大学の大出剛教授からは、同大学で研究開発を実施している燃料電池船舶の「らいちょうN」に関する、現在までに得られた研究成果の紹介とともに、現在の規制に関する課題や、今後の開発船舶について講演を頂きました。
最後に、FCH-JUのLionel Boillot氏からは、燃料電池と水素に関する欧州連合の政策の紹介とともに、鉄道および船舶に関する同組織が支援しているプロジェクトの紹介等の講演を頂きました。
また、講演の最後には、質疑応答の時間が設けられ、積極的な意見交換が行われました。多数の皆様にご参加頂き、会場は満員となり、大変盛況なセミナーとなりました。
主な参加者
参加者数:201名
プログラム
開会挨拶 |
鷲頭 誠 |
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基調講演 |
河村 篤男 |
講演1 |
Lars Langfeldt |
講演2 |
柏木 隆行 |
講演3 |
ALSTOM Transport S.A., Utilization on Fuel Cells for Train - Coradia iLint- Andreas Frixen |
講演4 |
大出 剛 |
講演5 |
Mirela Atanasiu |