2023年 年頭のご挨拶

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。皆様におかれましては、健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 旧年中は、運輸総合研究所の活動に対しまして、温かいご支援、ご協力をいただきましたことに、厚く御礼申し上げます。

 さて、3年前に始まったCOVID-19のパンデミックですが、昨年はようやく世界各地でコロナ後のニューノーマルに向けた動きが本格化いたしました。当研究所でも我が国の水際対策の見直しについて度重なる提言を行ってまいりましたが、他のG7諸国と比べて遅きに失した感はあるものの、我が国においても昨秋から大幅に水際対策が緩和され、国際的な往来が活発化しつつあり、今後に向けた明るい兆しが見えてきております。

 一方で、昨年2月からのロシアによるウクライナへの武力侵攻は、長期化の様相を見せており、人道上の問題は言うに及ばす、世界は、グローバルサプライチェーンの下で如何にしてエネルギーや食糧を安定的に確保するかという切実な課題に直面することとなりました。燃料価格など諸物価の高騰は、世界経済に大きな影響を与えています。このように混迷する世界の厳しい現実が白日の下にさらされる中で、自由や人権、民主主義、法の支配といった普遍的な価値を共有する国家間の多重的な連携の重要性が明らかとなったことも事実です。

 さらに、このような社会経済情勢の変化がもたらした社会・個人の価値観・行動の変容やエネルギー需給の逼迫は、交通運輸・観光産業の事業革新、デジタルトランスフォーメーション(DX)の展開、脱炭素化社会の実現の必要性をより一層際だたせました。これらの課題に対する取組については、中長期的視点に立ちつつ、国際的な知見を活かし、また、国際的な動向を見極めながら進めていくことが求められています。

 以上のような認識の下、当研究所では、今年1年、より一層皆様との交流・連携を深め、持続可能で活力に満ちた交通運輸・観光の実現に貢献すべく、研究調査、セミナー、コンサルティング等の活動に努力してまいります。

 また、これらの活動については、本部と米国のワシントン国際問題研究所(JITTI)に加え、一昨年4月にタイのバンコクに設立したアセアン・インド地域事務所(AIRO)との連携の下、「自由で開かれたインド太平洋」の実現のために交通運輸・観光が果たすべき役割を常に意識して、北米から東南アジア・南アジアに至る地域において、かつ、欧州の動向にも十分配意しつつ、広域的かつ戦略的に進めてまいります。特に昨年再開した当研究所の国際的な往訪活動については、本年は、国際的な人的交流の充実・拡大や物流の改善に焦点を当てたシンポジウム等の開催をバンコク、ワシントンDC、ベトナムなどで予定するとともに、昨年から日本財団のご支援により開始したグローバル基金を活用した活動のさらなる充実を図ってまいります。

 新年を迎え、当研究所の役職員・研究員一同、心を新たにし、精一杯努力してまいる所存でございます。皆様におかれましては、今年も引き続きご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。