第27回 日中運輸経済技術交流会議

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日時 2024/7/30(火)11:00~17:00

開催概要

 2024年7月30日、運輸総合研究所(JTTRI)2階会議室において、第27回日中運輸経済技術交流会議を開催しました。この会議は、1984年(昭和59年)以来、中国国家発展改革委員会総合運輸研究所(ICT)と国土交通省及び運輸総合研究所との間で、運輸政策及び運輸事情全般に関する情報交換を目的として概ね毎年1回両国交互に開催している会議です。2023年7月北京開催に続くものです。今回は、ICTからFAN副所長を含む4名、JTTRIから宿利会長及び屋井所長を含む多数並びに国土交通省(総合政策局及び国土交通政策研究所)から3名が参加しました。冒頭、JTTRIの宿利会長が開会挨拶で、交通運輸分野は、気候変動、経済社会構造の変化、生成AI等の技術革新により、大きな変革期を迎えている中で、今回のテーマは時宜を得たものであり、双方の研究成果等の情報・知見を共有することによって、両国の交通運輸分野の発展につなげるとともに、このような機会の積み重ねにより日・中両国の友好関係をさらに進めていきたい旨を述べ、歓迎の意を表明しました。続いて、ICTのFAN副所長が中国側の開会挨拶を行いました。その後、3つのセッションにおいて、日中双方それぞれからの研究発表と議論を行いました。最後に、FAN副所長からの閉会挨拶に続き、JTTRIの屋井所長からの閉会挨拶により終了しました。また。翌日31日は、国土交通省の手配により、ICTの関心に応じた現地見学会が行われました。なお、次回は、2025年に中国で開催される見込みです。


1.開会挨拶
   宿利会長(JTTRI)
   FAN副所長(ICT)

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            宿利会長(JTTRI)

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            FAN副所長(ICT)


2.セッション1「交通運輸のグリーン化・脱炭素化の現状と課題」
 (発表者)
   菅生研究員(JTTRI) :「日本の運輸部門におけるカーボンニュートラルに向けたシナリオ分析」
   JIANG副研究員(ICT):「中国における交通グリーン化・低炭素化(脱炭素化)の特徴と傾向」

 JTTRIから菅生研究員が「日本の運輸部門におけるカーボンニュートラルに向けたシナリオ分析」(原文は英語)と題して発表しました。JTTRIにおける共同研究調査「交通GXロードマップ」(2023年度-2024年度)を基に、日本のCO2排出量の2割を占める運輸部門について、排出量削減が進みにくい交通機関を含むことから、国際競争力の低下に対する危機感があることを背景として始めた研究の成果を紹介しました。(なお、当該共同研究調査の中間報告については、本年6月開催の「交通脱炭素シンポジウムⅡ~脱炭素における運輸セクターの将来展望~」において発表済。https://www.jttri.or.jp/events/2024/symposium240612.html
続いて、ICTからJIANG副研究員が「中国における交通グリーン化・低炭素化(脱炭素化)の特徴と傾向」(原文は英語)と題して発表しました。中国における交通分野におけるグリーン化と低炭素化の政策と達成状況の概要(2030年までの低炭素化目標を含む。)に触れた上で、①鉄道電化の状況、②自家用車と商用車別の新エネルギー(電気又は水素燃料電池)自動車及び充電設備の開発・普及状況並びに製造段階を含めたゼロ排出化の方法、③電動自転車の普及状況、④電動船の普及見込みと低炭素燃料・エネルギー船舶の普及概念、⑤SAFの活用及び新エネルギー航空機導入、機体軽量化、管制・運航技術を含めた航空脱炭素化の計画など、を紹介しました。質疑では、(日本側に対し)輸送需要を減少させる取組みの有無、(中国側に対し)EVバスの台数と今後の見通し、(中国側に対し)ガソリン車とEVの価格差の縮小等に関する詳細な議論がありました。

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              菅生研究員

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             JIANG副研究員


3.セッション2「物流システムの革新と発展の方向性」
 (発表者)
   LIU副研究員(ICT):「物流システムの革新と発展の紹介」
   手塚研究員(JTTRI):「デジタル技術の活用による持続可能な物流システムの構築」

 ICTからLIU副研究員から「物流システムの革新と発展の紹介」(原文は英語)と題して発表しました。まず、①現代の経済状況に適した物流システムの構築に向けた国家物流ハブネットワークの目標値(2050年までに約150ヶ所の物流ハブ)と現在の進捗が紹介され、②地域を繋ぐ産業協力に向けた経済回廊となる物流ネットワークの構想、③グリーン物流に関する取り組み、④デジタル物流に関する取り組みについて報告がありました。
続いて、JTTRIから手塚研究員が「デジタル技術の活用による持続可能な物流システムの構築」(原文は英語)と題して発表を行いました。JTTRIにおける共同研究調査「デジタル技術の活用等による持続可能な物流システムの構築」(2022年度-2023年度)を基に、①日本の物流業界が直面する課題、②デジタル技術の活用・普及のための方策、③各ステークホルダー間のあるべき姿と当面実施すべき施策、④当面実施するべき施策を検討・実施する上で参考となる国内企業の取り組み事例 を紹介しました。(なお、当該共同研究調査に基づく提言“持続可能な物流システムの構築に向けて~解決のカギは「デジタル技術」~”については、本年5月にJTTRIから発表済。https://www.jttri.or.jp/research/logistics/digital_technologies/00_butsuryu_kagami.pdf
質疑では、(中国側に対し)物流ハブの整備における中央政府と地方政府の役割、(日本側に対し)荷主の間での物流情報の共有等に関する議論がありました。

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            LIU副研究員

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             手塚研究員


4.セッション3「ジェネラル・アビエーションの発展概況、シナリオと展望」
 (発表者)
   安部客員研究員(JTTRI) :「ドローン配送の利用意向と効果」
   DING副主任(ICT)   :「ジェネラルアビエーション発展の事実、シナリオ及び傾向」

 JTTRIから安部客員研究員が、「ドローン配送の利用意向と効果」と題して発表しました。まず、日本におけるドローン物流の現状が紹介され、次に、離島のドローン配送を対象にした地域住民の利用意向や導入効果の分析結果が紹介されました。過疎地におけるドローン配送事業の採算性を改善(赤字を削減)するには、機体費用のコストダウン、パイロットの同時監視機体数の増加などが考えらえる旨を示唆しました。
続いて、ICTからDING副主任が「ジェネラルアビエーション発展の事実、シナリオ及び傾向」(原文は英語)と題して発表しました。中国における、全国総合交通網におけるジェネラル・アビエーションの位置づけ、ジェネラル・アビエーションの事業者数、機体数、飛行時間及び空港数並びにドローンの事業者数、利用者数、機体数、免許数及び飛行時間の経年推移、ジェネラル・アビエーションに関する2020年目標(2016年策定)に対する達成状況、米中比較を紹介しました。その上で、ジェネラル・アビエーションの活用シナリオ(農村配送、医薬品、都市商品等の物流、体験観光、及び都市航空モビリティを含む。)、ジェネラル・アビエーション発展の見通し(低空化、無人化、市場規模、産業化、安全性向上の傾向)について、紹介しました。
質疑では、(日本側に対し)ドローンの同時監視台数の考え方、(日本側・中国側に対し)政府の規制(機体認証、操縦ライセンス等)等に関する詳細な議論がありました。

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            安部客員研究員

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             DING副主任


5.閉会挨拶
   FAN副所長(ICT)
   屋井所長(JTTRI所長)

 FAN副所長が中国側の閉会挨拶を行いました。続いて、屋井所長より、鉄道の年間1万キロメートルの電化等、中国が計画的に交通インフラ整備を進めていることを再認識するとともに、引き続き協力関係を強化して、お互いの研究活動の向上に努めていきたい旨の閉会挨拶を行いました。

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              FAN副所長

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              屋井所長


■フォトセッション

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(前列左から内山国土交通政策研究所副所長、窪田国土交通省国際政策課係員、
屋井所長、宿利会長、FAN副所長、DING副主任、LIU副研究員、JIANG副研究員)


■現地見学会


 翌31日、つくばヘリポートにおいて株式会社AirXのつくばテストフィールドを訪問し、同社の藤園様及びつくば航空株式会社の田中様から、空飛ぶクルマの実用化を見据えた事業に関する説明をして頂いた後、格納庫等を見学しました。また、東京ヘリポートにおいて株式会社アリラの松本様及び日本フライトセーフティ株式会社の厚地様から事業概要の説明をして頂いた後、ヘリ格納庫等を見学しました。

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             つくばヘリポート

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   東京ヘリポート(日本フライトセーフティ株式会社 社内)