三陸地域の公共交通復興に向けた基礎資料作成に関する調査

  • 総合交通、幹線交通、都市交通
  • 共同研究

研究期間:2011 - 2011

新倉 淳史 伊東 誠

目的

・本調査は、地域の公共交通システムや復興構想を検討するための基礎資料を作成することを目的とする
・本調査で作成した資料は、復興計画づくりにおける関係者間での議論の参考となることが望まれる

背景

・今回の震災で、多くの鉄道施設が被災しているが、地域の復興のためにも、鉄道路線の早期復旧が望まれる
・一方、各地域の復興計画を検討するなかで、これまで以上に地域のニーズに合った公共交通システムが必要である
・計画策定は、鉄道の復旧が基本となるが、復興に貢献できるシステムは何かという幅広い視点での検討も必要である

研究概要

 今回の震災により大きな被害が発生した JR 常磐線、仙石線、石巻線、気仙沼線、大船渡線、山田線、八戸線そして三陸鉄道(北リアス線、南リアス線)は、地域の通学者や高齢者の買い物、通院等日常生活の足として、また業務や帰省そして観光客の都市間の移動手段として重要な役割を担ってまいりましたし、今後も被災地域の復興を進めるため、そして復興後の地域の移動手段として不可欠な要素であり、可能な限り早期に運行サービスを再開することが望まれます。
 構想計画の検討は、まずは鉄道を被災前の場所に復旧することから始めることになりますが、将来再び到来する津波を考えると、線路を嵩上げする、ルートを一部移設するなどの方策も含めることが必要です。更に、まちづくりは単なる復旧ではなく新たな街を復興することが被災地の皆様の目標でありますので、復興に貢献できるという視点からの検討が必要です。また、鉄道そのものが防潮堤の役割を果たすなど、従来の鉄道施設にはない役割も求められています。これらを併せ考えると、将来構想計画策定に際しては鉄道が基本となりますが、それ以外の公共交通システム、例えばバス、LRT, BRT 等も含んだ多くの公共交通システムの中から、地域のニーズに合ったシステムは何か、復興に貢献できるシステムは何かという幅広い視点で検討を行い、計画を策定することが必要であると考えます。
 これらの考えをもとに公共交通構想計画策定のための基礎資料を作成いたしました。公共交通システムの特性の比較評価、計画策定の視点と留意点の検討を踏まえ、土地利用と整合のとれた路線や車両の計画方針を示しました。被災路線の事業主体で鉄道復旧を進める JR 東日本、三陸鉄道と地域の皆様が復興に向け公共交通のあるべき姿を検討する際にお役にたてれば幸いです。

三陸地域の公共交通復興に向けた基礎資料作成に関する調査【中間報告】