「2025 Global Mobility Conference」への参加報告
- 国際活動
- 他機関との交流

日時 | 2025/9/9(火) 〜 10(水) |
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開催概要
2025年9月9日(火)〜10日(水)に韓国ソウルにて「2025 Global Mobility Conference」が開催されました。当研究所から長谷川研究員が東アジア特別セッションにて招待講演を行い、パネルディスカッションへ参加しました。
≪Global Mobility Conference について≫
Global Mobility Conferenceは、韓国国土交通部、韓国交通安全庁及びITF(International Transport Forum)主催の年次大会で、世界各国の交通およびモビリティ関連機関のネットワーク構築を目的としています。当該大会の中における、当研究所の研究員が講演すべく今回招待された東アジア特別セッションは、KOTI(韓国交通研究院)が企画しており、中国・日本・韓国のモビリティ分野における交流促進を目的としており、今年から毎年開催される予定です。
当日の結果
■東アジア特別セッションにおける招待講演
東アジア特別セッションにおいて、当研究所から長谷川研究員が招待講演を行いました。共同研究調査「運輸分野における自動運転導入の効果・影響と普及加速化に関する調査研究(2023~2025)」の成果をもとに、「公共交通の自動運転:現状と課題、対応策」と題して発表しました。
講演では、まず公共交通の自動化の意義や社会に与える効果・影響を整理し、なぜ自動化が必要とされているのかを解説しました。続いて日本の現状を紹介し、自動運転の普及を加速させるためには技術面だけでなく社会的受容性など多くの課題があることを示しました。最後に、これらの課題への対応策として「バス・タクシー・鉄道の自動運転普及加速化に向けた提言」を発表しました。当該セッションでは、他に、KOTIのWon研究員が「韓国におけるモビリティビッグデータの活用」、中国運輸科学院(CATS)のLiu次長が「中国におけるバリアフリー移動サービスの政策と実践」とそれぞれ題して講演を行いました。

講演を行う長谷川研究員
■パネルディスカッション
講演後にKOTI、CATSの講演者とともに弘益大学Choo教授をセッション議長とし、発表テーマに関するパネルディスカッションを行いました。また、会場参加者からの質疑応答も行いました。(以下コメントおよび質疑内容)
・公共交通への自動運転導入では、安全がポイントになる。無人化して交通事故が起こった場合はどうするのか、過去の事例では予期できないようなパターンも無人運転になると起こる可能性があると思うがそのあたりをどう対応していくかが重要ではないか。(セッション議長コメント)
------------------------------------以下会場参加者との質議----------------------------------
Q.日本においてWaymo社と日本交通が協業し自動運転導入を目指しているとのことであったが、韓国とは考え方が大きく異なる。海外製のものを入れると国内メーカ―の競争力が失われる可能性があるがその点についてはどう考えているのか。
A. (長谷川研究員)個人的な見解だが、確かに海外製を導入すると一時的には国内メーカーの競争力低下につながる可能性がある。しかし現状では、国内メーカーは積極的な展開ができていないため、人手不足対応の観点から運行事業者が海外勢と組むのはやむを得ない選択である。むしろこれを契機に、国内メーカーが安心して参入できる制度設計と責任の所在に関する議論を進めることで、国内産業の競争力を将来的に強化する方向へ繋げることが重要である。
Q.日本のバス自動運転のパイロットプロジェクトでの運行台数を教えてほしい。
A. (長谷川研究員)茨城県ひたち市でレベル4の自動運転を実施している。同市は東京から2時間程度かかる場所にあるが、自分が知る限り一番先行している事例と思う。導入台数は1台である。1台しか導入できていないのはコストの問題が大きいと考えており、自動運転バスは普通のバスの10倍程度のコストがかかると言われている。

パネルディスカッションの様子

フロアからの質問に回答する長谷川研究員
東アジア特別セッションにおいて、当研究所から長谷川研究員が招待講演を行いました。共同研究調査「運輸分野における自動運転導入の効果・影響と普及加速化に関する調査研究(2023~2025)」の成果をもとに、「公共交通の自動運転:現状と課題、対応策」と題して発表しました。
講演では、まず公共交通の自動化の意義や社会に与える効果・影響を整理し、なぜ自動化が必要とされているのかを解説しました。続いて日本の現状を紹介し、自動運転の普及を加速させるためには技術面だけでなく社会的受容性など多くの課題があることを示しました。最後に、これらの課題への対応策として「バス・タクシー・鉄道の自動運転普及加速化に向けた提言」を発表しました。当該セッションでは、他に、KOTIのWon研究員が「韓国におけるモビリティビッグデータの活用」、中国運輸科学院(CATS)のLiu次長が「中国におけるバリアフリー移動サービスの政策と実践」とそれぞれ題して講演を行いました。

講演を行う長谷川研究員
■パネルディスカッション
講演後にKOTI、CATSの講演者とともに弘益大学Choo教授をセッション議長とし、発表テーマに関するパネルディスカッションを行いました。また、会場参加者からの質疑応答も行いました。(以下コメントおよび質疑内容)
・公共交通への自動運転導入では、安全がポイントになる。無人化して交通事故が起こった場合はどうするのか、過去の事例では予期できないようなパターンも無人運転になると起こる可能性があると思うがそのあたりをどう対応していくかが重要ではないか。(セッション議長コメント)
------------------------------------以下会場参加者との質議----------------------------------
Q.日本においてWaymo社と日本交通が協業し自動運転導入を目指しているとのことであったが、韓国とは考え方が大きく異なる。海外製のものを入れると国内メーカ―の競争力が失われる可能性があるがその点についてはどう考えているのか。
A. (長谷川研究員)個人的な見解だが、確かに海外製を導入すると一時的には国内メーカーの競争力低下につながる可能性がある。しかし現状では、国内メーカーは積極的な展開ができていないため、人手不足対応の観点から運行事業者が海外勢と組むのはやむを得ない選択である。むしろこれを契機に、国内メーカーが安心して参入できる制度設計と責任の所在に関する議論を進めることで、国内産業の競争力を将来的に強化する方向へ繋げることが重要である。
Q.日本のバス自動運転のパイロットプロジェクトでの運行台数を教えてほしい。
A. (長谷川研究員)茨城県ひたち市でレベル4の自動運転を実施している。同市は東京から2時間程度かかる場所にあるが、自分が知る限り一番先行している事例と思う。導入台数は1台である。1台しか導入できていないのはコストの問題が大きいと考えており、自動運転バスは普通のバスの10倍程度のコストがかかると言われている。

パネルディスカッションの様子

フロアからの質問に回答する長谷川研究員