研究報告会 2022年度冬(第52回)

  • 研究報告会

Supported by 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION

日時 2023/1/26(木)14:00~17:20【1日目】
2023/1/30(月)13:30~16:40【2日目】
会場・開催形式 運輸総合研究所2階会議室 (及びオンライン開催(Zoomウェビナー))
開催回 第52回
テーマ・
プログラム
研究報告会 2022年度冬(第52回)
日  時:2023年1月26日(木)14:00~17:20【1日目】
     2023年1月30日(月)13:30~16:40【2日目】
場  所:オンライン開催(Zoomウェビナー)および運輸総合研究所2階会議室

【1日目】
開会挨拶   宿利正史 運輸総合研究所 会長

報告概要   山内弘隆 運輸総合研究所 所長

報告1「観光DMOの取組み及びガバナンス構造に関する分析
            ~滞在型観光の推進に向けて~」
  発  表:後藤孝夫 客員研究員、中央大学経済学部 教授
    コメンテーター:野瀬元子 大東文化大学文学部 准教授
  討論・質疑応答

報告2「欧州の交通運輸分野のカーボンニュートラル政策の調査研究(共同研究)の
          中間報告 ~陸上交通の脱炭素政策の全体像と具体的施策~」
  発  表:嶋田優樹  研究員
       塚本光啓  研究員
       柴山多佳児 客員研究員、ウィーン工科大学交通研究所 上席研究員
    コメンテーター:納富 信  早稲田大学理工学術院環境・エネルギー研究科 教授
  討論・質疑応答

      (討論・質疑応答)モデレーター 山内 弘隆 運輸総合研究所所長

【2日目】
報告概要 山内弘隆 運輸総合研究所 所長

報告1「地域鉄道の経営のあり方に関する予備的考察」
  発  表:大井尚司 客員研究員、大分大学経済学部門 教授
    コメンテーター:竹内健蔵 東京女子大学現代教養学部国際社会学科 教授
  討論・質疑応答

報告2「コロナ禍がASEAN大都市の鉄道に及ぼす影響」
  発  表:武藤雅威  主任研究員
    コメンテーター:日比野直彦 政策研究大学院大学 教授
  討論・質疑応答

      (討論・質疑応答)モデレーター 山内 弘隆 運輸総合研究所所長

閉会挨拶 藤﨑耕一 運輸総合研究所 主席研究員・研究統括

プログラム

.

【1日目】2023年1月26日(木)14:00~17:20

開会挨拶
宿利正史<br> 運輸総合研究所 会長

宿利正史
 運輸総合研究所 会長


開会挨拶
報告概要
山内弘隆<br> 運輸総合研究所 所長

山内弘隆
 運輸総合研究所 所長


報告概要
報告①
後藤孝夫<br> 運輸総合研究所 客員研究員<br> 中央大学経済学部 教授

後藤孝夫
 運輸総合研究所 客員研究員
 中央大学経済学部 教授

講演者略歴
講演資料

コメント
野瀬元子<br> 大東文化大学文学部 准教授

野瀬元子
 大東文化大学文学部 准教授

講演者略歴
講演資料

回答

野瀬先生のコメントに対する回答(後藤客員研究員)
※資料は発表時のものを使用した
報告②

嶋田優樹          塚本光啓          柴山多佳児
運輸総合研究所 研究員   運輸総合研究所 研究員   運輸総合研究所 客員研究員
                            ウィーン工科大学交通研究所上席研究員
            

講演者略歴
講演資料

コメント
納富 信<br> 早稲田大学理工学術院環境・エネルギー研究科 教授

納富 信
 早稲田大学理工学術院環境・エネルギー研究科 教授

講演者略歴
講演資料

回答

納富先生のコメントに対する回答

講演資料

.

【2日目】2023年1月30日(月)13:30~16:40

報告概要
山内弘隆<br> 運輸総合研究所 所長

山内弘隆
 運輸総合研究所 所長


報告概要
報告①
大井尚司<br> 運輸総合研究所 客員研究員<br> 大分大学経済学部門 教授

大井尚司
 運輸総合研究所 客員研究員
 大分大学経済学部門 教授

講演者略歴
講演資料

コメント
竹内健蔵<br> 東京女子大学現代教養学部国際社会学科 教授

竹内健蔵
 東京女子大学現代教養学部国際社会学科 教授

講演者略歴
講演資料

回答

竹内先生のコメントに対する回答(大井客員研究員)

講演資料

報告②
武藤雅威<br> 運輸総合研究所 主任研究員

武藤雅威
 運輸総合研究所 主任研究員

講演者略歴
講演資料

コメント
日比野直彦<br> 政策研究大学院大学 教授

日比野直彦
 政策研究大学院大学 教授

講演者略歴
講演資料

回答

日比野先生のコメントに対する回答(武藤主任研究員)

講演資料

閉会挨拶
藤﨑耕一<br> 運輸総合研究所 主席研究員・研究統括

藤﨑耕一
 運輸総合研究所 主席研究員・研究統括

当日の結果

【1日目】2023年1月26日(木)


報告1「観光DMOの取組み及びガバナンス構造に関する分析
            ~滞在型観光の推進に向けて~」

発     表:後藤孝夫 客員研究員、中央大学経済学部 教授
コメンテーター:野瀬元子 大東文化大学文学部 准教授     

<報告>
本研究は、経済学で取り扱われているインセンティブ問題の考え方を地域DMOの財源制度に援用し、入湯税額と補助金の割合が地域DMOの必須KPIの1つである延べ宿泊者数に与える影響について定量的に分析した。
分析の結果、入湯税額は延べ宿泊者数に正の影響を与えている可能性を示唆した一方で、補助金の割合は年間延べ宿泊者数に負の影響を与えている可能性が明らかとなった。

<コメント>
本研究は今後の地域DMOの適切な財源の組み合わせを検討するうえでの基礎資料となる可能性があると評価したうえで、以下の2点についてコメントを頂戴した。
①入湯税モデルから導かれる地域への示唆・インプリケーションは,具体的にどのようなものか。
②宿泊型観光地以外については、どのように考えればよいのか。

<討論と質疑応答>
コメンテーターから頂戴した2点のご指摘について、それぞれ以下のように回答した。
①DMOのインセンティブ問題への対策が地域にとって重要である点
②地域の実情にあわせて観光目的の課税は可能であり、徴収目的や方法については今後も検討していくべき



報告2「欧州の交通運輸分野のカーボンニュートラル政策の調査研究(共同研究)の
          中間報告 ~陸上交通の脱炭素政策の全体像と具体的施策~」

発     表:嶋田優樹  研究員
        塚本光啓  研究員
        柴山多佳児 客員研究員、ウィーン工科大学交通研究所 上席研究員
コメンテーター:納富 信  早稲田大学理工学術院環境・エネルギー研究科 教授

<報告>
EUや加盟国における主に小型自動車の脱炭素戦略や関連法制度について体系的に整理した。「化石燃料から再生可能エネルギーへの転換」「行動変容を通した交通分野全体のエネルギー消費の減少」というアプローチから、EUレベルでは排出権取引の運輸部門への拡大等、都市レベルではモーダルシフトの推進等を一体的に実施することで、自動車ユーザーに対する脱炭素への行動変容のインセンティブ構造が構築されていることを明らかにした。

<コメント>
・自動車、小型商用車について、EV利用の障壁除去や行動変容を促進する施策を推進するEUの非常に強い姿勢を、理解が容易な形で整理したことが、本調査の意義深い点である。
・対象の交通モードを拡大(大型商用車や鉄道等)した場合、その結果が今回の整理へ与える影響について、今後の調査に期待する。 

<討論と質疑応答>
現下の状況においても炭素取引等、現状の仕組みで目標が達成できると考えているか?
→ETSへの交通分野の追加だけでなく、多数の法案を有機的に連携させることでEUは何としても目標達成しようと考えている。政策の実効性については今後引き続き調査を進める。


1日目の様子

1日目の様子


【2日目】2023年1月30日(月)


報告1「地域鉄道の経営のあり方に関する予備的考察」

発     表:大井尚司 客員研究員、大分大学経済学部門 教授
コメンテーター:竹内健蔵 東京女子大学現代教養学部国際社会学科 教授

<報告>
地方鉄道の経営は、社会環境変化、災害、コロナ禍など、厳しい状態に直面しており、国土交通省でも地方鉄道の将来像に関する検討がなされてきた。
本研究では、地方鉄道の経営に関する現状について、制度面、輸送密度と経営指標(費用・営業係数)との関係を明らかにし、制度や政策面、経営組織面での課題を考察した。
明らかになったこととして、輸送密度が1000人以下の低い事業者で経営効率性や持続可能性が厳しいこと、現状の上下分離施策しかない鉄道事業の支援制度に課題があること、運営費補助制度の整備とともに地域全体で経営責任やスケールメリットを追うような経営形態の導入が必要であること、がある。

<コメント>
(1)「輸送密度」「営業係数」の指標の適切性、(2)地方鉄道に最適な経営規模は存在するのか、(3)日本の「上下分離方式」の意義の問題、(4)第三セクターの持つ根源的な問題への言及必要性、(5)スケールメリット追及と運営形態の関係性、(6)「運営費補助」のデメリットの問題、のご指摘があった。

<討論と質疑応答>
(3)の指摘は同感であること、(1)(2)(4)(5)(6)については指摘がごもっともであり、今後の研究のなかで、指標や変数の適切な設定について検討すると回答した。フロアからは、「環境負荷や外部経済と地域鉄道との関係」「グループ化の方法」「支援財源調達の方法」といった、今後の分析の視点含めた質問を複数頂戴した。

報告2「コロナ禍がASEAN大都市の鉄道に及ぼす影響」

発     表:武藤雅威  主任研究員
コメンテーター:日比野直彦 政策研究大学院大学 教授

<報告>
バンコク、マニラ、ジャカルタのASEAN大都市では、新型コロナ禍前と比べてコロナ禍最中の鉄道利用者数が激減した。本研究では鉄道の感染対策に関する日本との相違を示すとともに、多重共線性の問題を回避できる部分的最小二乗回帰(PLS回帰モデル、計量科学の分野で開発)を用いて鉄道利用に及ぼす要因を定量的に分析した。この結果、コロナ禍前と比べた職場や公園への滞在(外出)減少や学校の閉鎖政策、鉄道の輸送容量減少等の影響度が大きく、多くの制限政策・施策に関する説明変数が鉄道利用に影響を及ぼしていることがわかった。

<コメント>
時宜を得たテーマであり、今後の活動に向けた重要な研究である。ただし,モデルに関しては課題も多く、改良が望まれる。また、居住地側、勤務地側、交通機関等、どこで、どの程度規制したかを整理した方が良い。短期の旅客数変化だけでなく、長期にも影響する生活様式や交通行動の変化に焦点を当てることが重要である。①「モデル改良の方針は?」、②「コロナ禍で何が変わり、何が継続され、何が戻ると考えているのか?」、③「今後のTODへの支援において認識を変える必要があるものは何か?」の3点を質問する。

<討論と質疑応答>
ご質問について以下回答する。①PLS回帰モデルの採用でモデルに多くの説明変数を導入できたが、一部の変数で内生性の問題が残ると考えている。②制限緩和・終了で鉄道利用者が戻ってきたのは朗報だが、利用者の安心安全のための最低限のコロナ対策は続くと見られる。③リモートワーク化等の行動変容が今後起きた場合、沿線住民のQOL向上のために拠点駅でどのような駅整備やまちづくりをすべきかといった視点が重視されるであろう。

2日目の様子

2日目の様子