これからのモビリティ社会の実現に向けた国際セミナー
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~生活者の快適な移動の実現を目指して~
主催 | 一般財団法人 運輸総合研究所 |
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日時 | 2018/3/13(火)14:00~18:00 |
会場・開催形式 | 六本木アカデミーヒルズ タワーホール |
開催概要
近年、少子高齢化と人口の都市集中が進む日本において、生活に必要な移動手段をどのように確保すべきか、また、より快適な生活空間の実現のためにモビリティはどうあるべきかといった「移動」に関する基本的な視点での議論が提起されています。
欧州においては、MaaS(Mobility as a Service)と呼ばれる新たな移動サービスが提供され始めており、従来のモード分断、高速大量輸送から一歩進み、より個人のニーズに沿ったモビリティの提供が可能となりつつあります。また、自動車中心の街づくりが古くから我々のコミュニティが有していた生活空間を破壊することとなった反省を踏まえ、「遅い交通」を核とした新たな街づくりの試みもスタートしています。
一方産業界においても、自動運転を基盤としたプラットフォームビジネスや、自動車がインターネットにつながり大容量のデータをやり取りするコネクテッドカーを基盤としたサービスなど、従来にないモビリティサービスの構想の検討が各所で進められています。
このような国内外の新しいモビリティの事例を紹介し、生活者にとってより快適な移動環境を実現するための取り組み課題を展望するため、国際セミナーを開催いたしました。
初めに、アーンストアンドヤングのジョン・シムレット氏より、欧州におけるMaaSのサービスの展開の状況や、それぞれのサービス内容の特色などについて紹介があり、今後のMaaSのさらなる進展のためには、ブロックチェーンを活用したシステムの構築が有用であるとの指摘がなされました。また、本講演の補足として同じくアーンストアンドヤングの奥井潤氏より、我が国におけるモビリティーサービスの概況について説明があり、欧州と比べて展開が進んでいないこと、生活者目線での議論が必要であることの指摘がありました。
次に、パナソニック株式会社オートモーティブ開発本部の塩月八重三氏より、地域課題解決に向けたモビリティサービスの姿について講演がありました。講演では、パナソニック社が描くこれからのモビリティの姿について紹介があったほか、高齢化、労働力不足などの地域課題を解決するための取り組みとして、パナソニック社が福井県永平寺町と共同して行っている自動運転の実証実験の概要について説明がありました。
続いて、ミシガン州デトロイトにおいて自動車関連のスタートアップ企業の支援を行っているプラネットMのトレヴァー・ポール氏より、大手自動車産業の不調により、一時衰退したデトロイトの趨勢が回復していることの報告がありました。また、自動運転の開発をリードしているシリコンバレーとは対決するのではなく、協力していくことが重要だとの指摘がありました。
次に、建築家で株式会社SUEP代表取締役の末光弘和氏より、新しいコミュニティとローカルモビリティについて講演がありました。末光氏からは、建築家という立場で、東京の世帯平均人数が2人を切る状況において、多人数による緩やかな連帯が図られたコミュニティの構築と、そのコミュニティ空間に張り巡らされた緑道をコンパクトなモビリティが走り、人と人を結びつけるというモデルの提案がありました。
最後に、情報通信研究機構理事長、慶応大学客員教授の徳田英幸氏より、IoTサービスとコネクテッドカーの課題について講演がありました。最新のIoTサービスの事例の紹介に続き、IoTセキュリティの問題点として攻撃側と守備側に非対称性が存在すること、管理が行き届いていないデバイスを経由しての攻撃が増加していることといった指摘があり、コネクテッドカーへのハッキングの具体的な事例についても紹介がありました。
これらの講演の終了後、講演者全員との質疑応答を行い、積極的な意見交換が図られました。多数の方々に参加をいただき、会場は満員となり、盛況のうちにセミナーを開催することができました。
主な参加者
参加者数:224名
プログラム
開会挨拶 |
鷲頭 誠 |
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講演1 |
John Simlett |
講演2 |
塩月 八重三 |
講演3 |
Trevor Pawl |
講演4 |
末光 弘和 |
講演5 |
徳田 英幸 |