モバイル・ビッグデータの運輸部門における国内実証とASEAN諸国展開調査

  • 新技術・イノベーション
  • 調査研究事業(日本財団助成)

研究概要

 本事業における「モバイル・ビッグデータ」(MBD)とは、数千万台に及ぶ個人所有のモバイル端末(携帯電話、スマートフォン)と500mから数キロ単位で設置された基地局が1時間毎に交信する際に得られる百万ギガレベルの膨大な位置情報である。人口分布・人の移動について把握することができ、我が国では統計データとして提供するサービスが実現している。

ASEANでは、大都市で人口集中による激しい交通渋滞が問題となっており、適切な交通計画に基づく公共交通の整備等による問題解決が必要となっている。しかし、交通計画立案に不可欠な人口分布・人の移動の実態把握は、従来大規模な調査が必要とされ、簡単ではなかった。また、ASEANでは、モバイル端末の普及率が高いため在圏情報は十分存在すると考えられるものの、それが統計データとして活用されている状況にはない。

本事業では、日本のMBD活用の知見を活かしASEAN諸国での交通問題解決に貢献することを目指し、関係者への提案などの活動を行っている。2か年計画の2年目の2018年度はASEAN加盟国との効果的な情報共有・人材育成について、国土交通省と連携し活動した結果、11月タイ・バンコクにて開催された第16回日ASEAN交通大臣会合において、日ASEAN交通連携に基づく新規イニシアティブとして採択された。 これに基づく活動として、2019年1月ベトナム・ハノイにて日ASEANセミナー「交通計画のためのモバイル・ビッグデータの活用」を開催した。

同セミナー開催にあたっては、あらかじめ、ベトナムにおいて、行政機関、交通事業者、通信事業者、大学の関係者と意見交換を行うとともに、連携意欲が旺盛であった通信事業者との間でMOUを締結した。これに基づき提供を受けたサンプルデータを東京大学の協力を得てトライアル分析を行い、人の移動を可視化した。セミナーでは、可視化デモンストレーションを行うとともに、ASEAN諸国の代表と各国におけるモバイル・ビッグデータの使用状況及び今後のチャレンジについて情報交換した。



2017年度モバイル・ビッグデータの運輸部門における国内実証とASEAN諸国展開調査 報告書

研究調査報告書 要旨

2018年度モバイル・ビッグデータの運輸部門における国内実証とASEAN諸国展開調査 報告書