台湾交通部鉄道局との鉄道と沿線開発に関するWebinarの開催報告
- 国際活動
- 他機関との交流

日時 | 2025/7/9(水)15:00 ~ 18:45 |
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開催概要
【実施の経緯】・2024年10月に台北にて開催された国際高速鉄道協会(IHRA)会議2024において、宿利会長、富田主任研究員・AIRO次長と楊正君台湾交通部鉄道局長との間で両者の協力関係の強化について合意

楊局長(右)
・その合意に基づき、JTTRI及び鉄道局のお互いの取組について学びあう機会として開催
当日の結果
両機関及び関係機関から合わせて90名程度が参加
1.開会挨拶
(1) 彭家德 鉄道局総工程司(Chief Engineer)
・Webinar開催への感謝と、日本と台湾のTODの経験について共有し、意見交換することへの期待
・TODは都市計画・交通整備において重要な理念であり、持続可能な都市発展に資するものであり、日本のTODの豊富な経験から学び、台湾に生かしたい
・鉄道局関係者や民間企業も交えた多様な交流を通じ、両国の都市開発・鉄道分野の協力深化を期待

彭家德 鉄道局総工程司
(2) 藤﨑 主席研究員・研究統括
・本Webinarは、台湾交通部鉄道局との協力強化の合意を受け、相互理解を目的として開催
・JTTRIの概要説明の中で、最近の研究テーマ一覧・発表可能テーマを紹介
・今後、台湾鉄道局と共通関心分野での継続的な研究交流を提案

藤﨑 主席研究員・研究統括
2.鉄道と沿線開発に関する研究活動の紹介
(1) JTTRI 武藤主任研究員:
「日本のTOD事例」
・日本のTODとして、鉄道整備と沿線開発を一体に行ったものと、駅を中心に都市再開発を行ったものがあること
・前者のTOD事例として東急田園都市線やみなとみらい線とそれらの整備手法や効果を紹介

武藤 主任研究員
(2) 鉄道局 鄭奕廷専門委員(Senior Executive Officer):
「高速鉄道駅周辺地区におけるTODの経験」
・高速鉄道駅周辺の開発事例やそのスキームを紹介
・台湾高速鉄道沿線のTOD戦略は都市計画や用地取得、インフラ投資、官民連携を効果的に統合してきたものであることを強調

鄭奕廷 専門委員
(3) JTTRI 金山主席研究員・研究統括:
「富山市のコンパクトシティ開発(持続可能化政策)」
・富山市は公共交通の利便性向上と都市機能誘導策によるネットワーク型コンパクトシティ化を推進
・LRT整備や中心市街地再開発、住宅誘導策で中心市街地の活性化と沿線の人口回帰を実現
・中心市街地の税収確保による市政、公共交通利用による医療費削減効果等、都市経営も持続可能に

金山 主席研究員・研究統括
(4) 鉄道局 林庭毅 建築科科長(Chief of Architecture Section):
「台湾の鉄道駅におけるTODのヴィジョン」
・駅周辺での高密度・複合開発と、歩行・自転車・公共交通に優しい環境整備を推進
・地下連絡通路や公共空間の整備により、駅と周辺施設・都市機能を一体化
・TOD指向の設計ガイドラインを策定し、スマートで持続可能な駅エリア開発を目指す

林庭毅 建築科科長
3.質疑応答
質疑応答では、下記の質問が双方からだされ、活発な議論となった。
Q1(JTTRI):台湾における官民の役割分担の苦労や工夫について
A1(鉄道局):政府と民間デベロッパーが協力し、契約で進捗を管理。特に企業誘致や建設時の課題には政府が積極的に支援。土地や公権力が関わる案件(用地取得、土木工事、労働力調整等)は政府が担い、トラブル時も政府が前面に出る体制を構築
Q2(台湾企業):台湾では都市開発は行政主導で進められるが、日本では民間がどの程度、政府の計画に従うのか、また影響を受けるのか?
A2(JTTRI):日本では土地利用規制が厳しく、用途変更などは容易でない。計画通りに進むとは限らない。富山やみなとみらいのように合意形成ができれば、鉄道開発は推進力を持つ
A2(鉄道局):台湾では再区画制度を活用し、中央政府が審査・承認を一元管理。特定区制度により開発計画を柔軟に進め、権利調整も配慮しながら開発を推進
Q3(JTTRI):台湾で個性的なコンセプトを持つTOD事例は?
A3(鉄道局):台湾も日本と同様、鉄道建設に連動したTODが中心。鉄道局としてもガイドラインを策定し、今後は事例の拡充と規模拡大を目指す。日本の先進事例から多くを学びつつ、新たな沿線開発にも意欲
A3(台湾企業):新竹では複合型施設を段階的に開発中。中央・県・市の3層行政や鉄道事業者との調整が重要で、行政のコーディネート力が鍵
Q4(鉄道局):日本の駅を核とした都市開発型TOD事例と、TODの定量的評価手法について
A4(JTTRI):TOD事例として虎ノ門ヒルズの事例を紹介。容積率緩和により民間投資を誘導し、都市再開発と鉄道新駅設置を実現
TODの定量的評価手法については、確立されたものはないが、富山市では、沿線人口比率や税収効果などで数値目標を設定し、効果測定を実施
4.総括
(1) 彭家德 鉄道局総工程司(Chief Engineer)
・日本から多くを学んでおり、今回のWebinarで日本から多くのことを学ぶことができ、貴重な経験となった
・鉄道局の楊局長も日本の成功事例を参考にするよう指示を出してしており、今回の意見交換は大変有意義なものとなった
・台湾でも直接指導いただければ幸い
・2回目のウェビナーを開催し、さらに交流できればと思う
(2) 藤﨑 主席研究員・研究統括
・このWebinarは、台湾と日本の経験を学び、統合する第一歩として大変有意義な意見交換となった
・開会挨拶で提案した通り、今後の協力関係の具体化については、今後相談していきたい

台湾交通部鉄道局の様子
1.開会挨拶
(1) 彭家德 鉄道局総工程司(Chief Engineer)
・Webinar開催への感謝と、日本と台湾のTODの経験について共有し、意見交換することへの期待
・TODは都市計画・交通整備において重要な理念であり、持続可能な都市発展に資するものであり、日本のTODの豊富な経験から学び、台湾に生かしたい
・鉄道局関係者や民間企業も交えた多様な交流を通じ、両国の都市開発・鉄道分野の協力深化を期待

彭家德 鉄道局総工程司
(2) 藤﨑 主席研究員・研究統括
・本Webinarは、台湾交通部鉄道局との協力強化の合意を受け、相互理解を目的として開催
・JTTRIの概要説明の中で、最近の研究テーマ一覧・発表可能テーマを紹介
・今後、台湾鉄道局と共通関心分野での継続的な研究交流を提案
藤﨑 主席研究員・研究統括
2.鉄道と沿線開発に関する研究活動の紹介
(1) JTTRI 武藤主任研究員:
「日本のTOD事例」
・日本のTODとして、鉄道整備と沿線開発を一体に行ったものと、駅を中心に都市再開発を行ったものがあること
・前者のTOD事例として東急田園都市線やみなとみらい線とそれらの整備手法や効果を紹介
武藤 主任研究員
(2) 鉄道局 鄭奕廷専門委員(Senior Executive Officer):
「高速鉄道駅周辺地区におけるTODの経験」
・高速鉄道駅周辺の開発事例やそのスキームを紹介
・台湾高速鉄道沿線のTOD戦略は都市計画や用地取得、インフラ投資、官民連携を効果的に統合してきたものであることを強調

鄭奕廷 専門委員
(3) JTTRI 金山主席研究員・研究統括:
「富山市のコンパクトシティ開発(持続可能化政策)」
・富山市は公共交通の利便性向上と都市機能誘導策によるネットワーク型コンパクトシティ化を推進
・LRT整備や中心市街地再開発、住宅誘導策で中心市街地の活性化と沿線の人口回帰を実現
・中心市街地の税収確保による市政、公共交通利用による医療費削減効果等、都市経営も持続可能に
金山 主席研究員・研究統括
(4) 鉄道局 林庭毅 建築科科長(Chief of Architecture Section):
「台湾の鉄道駅におけるTODのヴィジョン」
・駅周辺での高密度・複合開発と、歩行・自転車・公共交通に優しい環境整備を推進
・地下連絡通路や公共空間の整備により、駅と周辺施設・都市機能を一体化
・TOD指向の設計ガイドラインを策定し、スマートで持続可能な駅エリア開発を目指す

林庭毅 建築科科長
3.質疑応答
質疑応答では、下記の質問が双方からだされ、活発な議論となった。
Q1(JTTRI):台湾における官民の役割分担の苦労や工夫について
A1(鉄道局):政府と民間デベロッパーが協力し、契約で進捗を管理。特に企業誘致や建設時の課題には政府が積極的に支援。土地や公権力が関わる案件(用地取得、土木工事、労働力調整等)は政府が担い、トラブル時も政府が前面に出る体制を構築
Q2(台湾企業):台湾では都市開発は行政主導で進められるが、日本では民間がどの程度、政府の計画に従うのか、また影響を受けるのか?
A2(JTTRI):日本では土地利用規制が厳しく、用途変更などは容易でない。計画通りに進むとは限らない。富山やみなとみらいのように合意形成ができれば、鉄道開発は推進力を持つ
A2(鉄道局):台湾では再区画制度を活用し、中央政府が審査・承認を一元管理。特定区制度により開発計画を柔軟に進め、権利調整も配慮しながら開発を推進
Q3(JTTRI):台湾で個性的なコンセプトを持つTOD事例は?
A3(鉄道局):台湾も日本と同様、鉄道建設に連動したTODが中心。鉄道局としてもガイドラインを策定し、今後は事例の拡充と規模拡大を目指す。日本の先進事例から多くを学びつつ、新たな沿線開発にも意欲
A3(台湾企業):新竹では複合型施設を段階的に開発中。中央・県・市の3層行政や鉄道事業者との調整が重要で、行政のコーディネート力が鍵
Q4(鉄道局):日本の駅を核とした都市開発型TOD事例と、TODの定量的評価手法について
A4(JTTRI):TOD事例として虎ノ門ヒルズの事例を紹介。容積率緩和により民間投資を誘導し、都市再開発と鉄道新駅設置を実現
TODの定量的評価手法については、確立されたものはないが、富山市では、沿線人口比率や税収効果などで数値目標を設定し、効果測定を実施
4.総括
(1) 彭家德 鉄道局総工程司(Chief Engineer)
・日本から多くを学んでおり、今回のWebinarで日本から多くのことを学ぶことができ、貴重な経験となった
・鉄道局の楊局長も日本の成功事例を参考にするよう指示を出してしており、今回の意見交換は大変有意義なものとなった
・台湾でも直接指導いただければ幸い
・2回目のウェビナーを開催し、さらに交流できればと思う
(2) 藤﨑 主席研究員・研究統括
・このWebinarは、台湾と日本の経験を学び、統合する第一歩として大変有意義な意見交換となった
・開会挨拶で提案した通り、今後の協力関係の具体化については、今後相談していきたい
台湾交通部鉄道局の様子