第2回JTTRIグローバルセミナー
「次の半世紀における日ASEAN関係~日ASEAN友好協力50周年の節目に~」

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Supported by 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION

日時 2023/11/1(水)日本時間15:00~17:00/シンガポール時間14:00~16:00
会場・開催形式 運輸総合研究所2階会議室 及び オンライン配信(日英同時通訳) (Languages: Japanese and English. Simultaneous interpretation between Japanese and English)
テーマ・
プログラム
第2回JTTRIグローバルセミナー
「次の半世紀における日ASEAN関係~日ASEAN友好協力50周年の節目に~」

日 時:2023年11月1日(水)日本時間15:00~17:00/シンガポール時間14:00~16:00
場 所:運輸総合研究所2階会議室 及び オンライン配信(日英同時通訳)

【特別講演①】ビラハリ・カウシカン 氏  元シンガポール外務次官
【特別講演②】鶴岡 公二 氏 国際情勢研究所長・元英国駐箚特命全権大使  
【対談】〔対談者〕ビラハリ・カウシカン氏、鶴岡 公二氏
〔モデレーター〕宮川 眞喜雄 氏 前内閣官房国家安全保障局国家安全保障参与・元マレーシア駐箚特命全権大使 

開催概要

東南アジアは、歴史的な経済発展を遂げた世界の成長センターとしての面がありますが、貧困等の国内問題、地球温暖化等のグローバル課題、更には米中戦略的競争等地政学・地経学的環境の変化に苦慮している一面もあります。我が国はそのような東南アジアに、シーレーン上の結節として、重要な交易先・投資先として、伝統的に深く関与しており、東南アジア地域の平和と安定は、正しく我が国の生存上必須の条件であるといえます。

本年は、日ASEANの外交関係が1973年に始まってから、50周年の記念すべき節目の年になります。今回のグローバル・セミナーでは、3人の元外交官をお招きし、現在の日ASEANが置かれた国際環境と、次の半世紀において日ASEAN関係の更なる発展を実現するための方策についてご議論頂きました。


主なSDGs関連項目

プログラム

開会挨拶
宿利 正史 運輸総合研究所 会長

宿利 正史 運輸総合研究所 会長

開会挨拶
特別講演①
ビラハリ・カウシカン 氏  元シンガポール外務次官 

ビラハリ・カウシカン 氏  元シンガポール外務次官 

講演者略歴

特別講演②
鶴岡 公二 氏 国際情勢研究所長・元英国駐箚特命全権大使  

鶴岡 公二 氏 国際情勢研究所長・元英国駐箚特命全権大使  

講演者略歴

ディスカッション


<モデレーター>
宮川 眞喜雄 氏 前内閣官房国家安全保障局国家安全保障参与・元マレーシア駐箚特命全権大使


講演者略歴

<対 談 者>:ビラハリ・カウシカン氏、鶴岡 公二氏
閉会挨拶
奥田 哲也 運輸総合研究所 専務理事<br>      ワシントン国際問題研究所長<br>      アセアン・インド地域事務所長

奥田 哲也 運輸総合研究所 専務理事
      ワシントン国際問題研究所長
      アセアン・インド地域事務所長

当日の結果

当日の結果 運輸総合研究所の宿利正史会長の開会挨拶に続き、ビラハリ・カウシカン元シンガポール外務次官及び鶴岡公二元駐英大使/国際情勢研究所長より、日・ASEAN関係樹立50周年を記念し、次の半世紀における日・ASEAN関係をテーマにそれぞれ基調講演を頂きました。その後、宮川眞喜雄元駐マレーシア大使/元内閣官房国家安全保障参与をモデレーターに、ビラハリ大使及び鶴岡大使の間で、日・ASEAN関係と日・ASEAN協力について対談を頂きました。


【ビラハリ・カウシカン元シンガポール外務次官 基調講演概要】
・主に安全保障の観点から、日・ASEAN関係について議論。
・米中戦略的競争やウクライナ・ガザでの戦争といった不安定で不確実な安全保障環境が今後も続くと想定されるところ、東南アジアにおける日本の安全保障上の役割がより明示的なものになる。
・東南アジアの戦略的現実は二つの相反する矛盾する現実に直面。すなわち中国の攻撃的な外交政策の結果、東南アジアにおける地域の均衡維持のための米国の不可欠な役割が浮き彫りになる一方で、冷戦終結以降自国の存亡の危機に直面した経験のない米国政府が、国内政治と自国の当面の利害に目を奪われている現状が生じている。
・こうした現状において、日本が東南アジアにおける明確な安全保障上の役割として、3つの機能を担う必要あり。
・第一に、日米同盟の当事国として、米国の東南アジア地域への関与を繋ぎ止めるアンカーとしての役割。日米同盟は、地域全体の安全保障上のインフラとして米国の地域関与の基礎となってきたが、冷戦終結以来、米国は同盟国等に安全保障上の負担をより強く求める傾向。日本は、日米同盟と米国のプレゼンスを当然視せず、米国に対し、日本の貢献能力を継続的に強化し、日本自身が地域の安定に積極的に関与する意思を示し続けることが必要。
・第二に、米国にとって東南アジアにおける戦略的関心は、インド洋・太平洋シーレーンの利用の確保にあるが、そのために東南アジア諸国との協力は必要不可欠ではない。一方、地域大国の日本にとって、東南アジア地域自体が日本の国益の中心であり、日本が東南アジア諸国やASEANと協働することは必然である。米国の(地域への)関心と政策は、不可避的に変動することがあるが、それ故に日本は、海上自衛隊による第七艦隊の活動の補完等により地域のリスクを平準化できる。そのような主体として、同志国の印・豪・韓と協調し、どのような取り組みが可能か検討すべき。
・第三に、シンガポールの調査機関によると、日本はASEAN加盟国から最も信頼されている国際的な主体。ASEAN各国は、イスラム教徒が多い国に特有の反欧米的な感情といった事情により、国内政治上米国との直接の協力が難しい場合がある。日本はその場合でも米国の代理人として振る舞うことが可能。既に日本が手掛けている、東南アジア各国に対する海洋状況把握の能力開発支援に加え、各国のリクエストに応じた艦艇等日本製軍需品の輸出が期待される。
・故・安倍総理の功績により、日本は既に如上の方向に舵を切っているが、こうした取り組みは今後十年以上に亘り維持されることが必要。これらを支える日本国内の法整備や経済構造改革といったものが必要であり、そのための強力な国内コンセンサスが求められるが、学術・メディア・経済界はまだまだ合意が形成されているとは言い難い。過去に短期間で首相が何人も交代するようなことがあったが、そのような政権不安定な時期の再来により、日本への内外の信頼が著しく下がるような事態が懸念される。


【鶴岡公二元駐英国大使 基調講演概要】
・主に経済の観点から、日・ASEAN関係について議論。
・日・ASEANは、過去50年間に亘り、相互の信頼に基づく平等なパートナーシップを構築。日本の外務省の直近(2022年)の意識調査によると、ASEAN各国の日本への信頼度は90%を超える。これは、聞く耳を持ち、平等なパートナーシップと相互尊重の元での東南アジア諸国との協働を旨とする日本の外交スタイルの賜物。このような合意ベースのアプローチは、合意までに時間はかかるが、時間をかけた分相手方は合意を強制されたと感じず、自発的に協力したいという意識を生み出すという点で、特に日・ASEAN関係上有効に機能。このようなAsian-way又はASEAN-wayを今後も維持することが必要。
・日・ASEANは相互に難しい課題に直面しており、将来これらに対応するためお互いを必要とする関係。日本は少子高齢化や成長鈍化といった国内の問題を抱えており、今後の国力増強のため、日本の経済の再活性化が課題。一方でASEANは、ミャンマー軍事政権の問題や南シナ海問題等の中国による挑戦など、ASEAN単独での解決が困難な課題を有している。
・日・ASEANの経済は民間主導で成長してきた。6.8億の域内人口による大きな市場を有しており、政治が比較的安定し法の支配を支持する東南アジア諸国は、日本企業にとって良好なビジネス環境を提供。製品のコスト削減や競争力維持のため、日本は世界中で優れた部品のサプライヤーを求めて投資してきたが、中でもASEAN諸国は、日本の投資先として大きな存在感。ASEANへの累積直接投資額は日本が首位。
・しかしながら、中国の台頭により、今や日・ASEANいずれも、中国が最大の貿易相手になっている。これは中国の市場規模や国際通商における重要性に鑑みて当然の帰結だが、一方で対中貿易・投資における経済安全保障上の課題が浮上。中国は、オーストラリアやフィリピンといった敵対的な姿勢を取る国々に対し、WTOルールを無視して豪州産ワインやフィリピン産バナナの禁輸を実施する等、外交問題の解決のため自国の巨大市場を武器化するという挙に出ており、世界もそれを見過ごしている状況。経済的理由以外の理由でグローバルなサプライチェーンが寸断され得るという現実において、経済関係の予見可能性や安定性が失われている。
・日本は中国に部品や重要鉱物を依存しており、そのようなサプライチェーンの脆弱性を補完することが必要。中国に替わり強靭なサプライチェーンを提供できる有力な主体がASEAN。今後、日・ASEANの政策協調に加え、ASEAN加盟国との二国間協力の強化、TPP/CPTPPやIPEFといった多国間の経済枠組みへのASEAN諸国の加盟促進と共通ルールによる経済関係強化を追求すべき。
・今後日本もASEANも厳しい時代に入ると思われるところ、日・ASEANは、今後人間の安全保障として人間個人に着目し、誰もが自分の可能性を発揮し実現できる環境を整備すべき。弾圧的な統治に対する反感に起因する軍事紛争を防ぎ、そして現状における東南アジア地域の平和を維持強化することにより、地域の繁栄を確保すべき。日本もこうした取り組みを通じて地域の繁栄の果実を得ることができ、日本経済の更なる発展が実現できる。


【対談概要】

① アジアの価値観とは何か?

〔ビラハリ大使〕
・アジアの国々では、一般的に個人を個人単位ではなく、コミュニティの一員として認識。但しアジアは広大で多様性があるため、(価値の共有について)過大評価は禁物。価値観が共通だからと言って地域の安定性は保証されず、現にアジアの域内において、域内国同士の戦争の事例は多数あり。まとまるためには共通の利害が必要。

〔鶴岡大使〕
・普遍的な価値観、地域の価値観、各国の価値観、家族の価値観党といった様々な階層が存在するが、各々に共通項がある筈。重要なのは、国、国民、宗教といった単位が相互に違いがあることへの寛容性を有していること。これらを全て1色で塗りつぶそうとする試みは抑圧そのものであり、そうしたルールが強制される側の参加抜きに制定されている場合は、強制される側の反発を確実に呼ぶ。
・グローバルサウス問題も同根。途上国において反欧米的な考えが嵩じ、第二次世界大戦後のブレトンウッズ合意や国連設立に自分たちは参加していないという理由で、欧米が作り出した戦後グローバルガバナンス体制に盲目的に追随しないと主張するように。グローバルサウスとは、このような国々をまとめて美化して呼ぶもの。
・特に、東南アジアはルール作りの一員たろうとし、自分たちが同意しないルールには、仮に必要なものだとしても強制されることを拒む傾向あり。ウクライナ侵略による対露制裁に対してASEANの足並みが揃わないのはその顕れ。
・現在の国際秩序はこれまで上手く機能してきた。これまで機能してきたという事実は、今後も現行秩序を維持すべきだという理由にはなるが、その際には誰もが同意できるビジョンが必要。今後の50年間において、国際社会はそのようなビジョンを作らなければならず、更にその策定過程において、全ての国の関与を求め、アイデアや知識を持ち寄らせ、議論し続ける努力が必要。
・もっとも、アジア人は傍観者になりたがる傾向あり。今後の国際秩序の構築に当たり、今後益々重要になるグローバルサウスの国々が加わったところで、積極的に関与し、包摂的・普遍的・オープンで自由な新しい機構や仕組みを構築しようと努力するかは未知数。日・ASEANの関係は出発点として適切であり、自らの議論のあり方を一つのモデルとして世界に提示しても良いのでは。


② 米中対立等国際環境の変化によりASEANも分断の危機にあるのではないか? 戦略的課題についての域内の意見の相違や、「自由で開かれたインド太平洋」の主張がASEANの地政学的な変化を呼ぶものではないか?

〔ビラハリ大使〕
・主権国家間の競争や紛争は、国際関係上当然に存在。こうした対立が顕在化しなかったのは、冷戦終結後20数年の米国一極支配の時代のみで、歴史的には稀な現象。現在は通常の国家間の競争が当然とされる時代に回帰している。
・鶴岡大使の「グローバルサウスは現行秩序への代替案を提示できるか?」という質問について。グローバルサウス、非同盟運動、G77、BRICsといった枠組みは、単に現存する課題に対して反射的に生じた運動に過ぎず、一貫性のある国際機構ではない。現にBRICsも内部にエジプト・エチオピア、印・中といった対立軸を抱えており、各国の利害関係の相違を克服することは困難。新たな国際秩序について、一貫性のある提案ができるとは思えない。
・(米中競争等加盟国間の意見の相違によるASEANの分断について)そもそもASEANに対する誤解があるが、ASEANは加盟国の不安定な外交関係を管理するためにできた多国間組織。ASEANとしての意思決定は合意ベースだが、これは加盟国間の小さな意見対立が大きな紛争に発展するリスクを防ぐための唯一の方法であるため。従って、パレスティナ問題にせよウクライナ問題にせよ南シナ海の領土紛争にせよ、ASEANとして共通の立場を取ることはあり得ない。ASEAN加盟国の共通の利益は、加盟国がASEANとして上手くまとまって活動し、東南アジアにおける安定的な国家間の関係を維持することにある。我々は、何ができるかを現実主義的に考えるべきで、何をするべきかを理想主義的に追及すべきではない。

〔鶴岡大使〕
・国際関係で合意は必要であり、日本でも「誰一人取り残さない」という哲学が存在。但し、将来に向けて全員が一緒に歩むとしても、行き先についてリーダーシップは必要であり、将来のビジョンが必要。福田総理の「心と心」発言は、(そのようなビジョンとして)過去に日・ASEANを一体にしたが、将来に向けた新たなビジョンを日・ASEANが共同で作ることが必要。
・米国の今後の東南アジア地域におけるプレゼンスを確保するため、更に米国民が政府のそのような方針を支持できるよう、日・ASEANは共同で、米国が感謝されていること、米国の軍事的経済的プレゼンスが必要であること、両者が米国の良きパートナーたり得ることを伝えるべき。

③ 極東における海軍力・中距離核戦力において、中国の米国に対する優位が明らかになる中、韓国の大統領が訪米し、米韓の核協議グループが立ち上げられたが、地域における通常戦力・核戦力の均衡をどう確保すべきか?

〔ビラハリ大使〕
・中露及び北朝鮮の第二撃能力(核攻撃に対する反撃能力)に対抗するため、日本としては米国の核の傘による拡大抑止が引き続き必要。ただ、米国の核抑止への依存が永遠に維持できるかは疑わしく、英仏のように、日韓は米国との同盟関係の元で核武装する必要に迫られるのではないか?
・国家間競争が常態化した現在のアジアにおいて、核抑止・通常兵器による抑止のいずれもが必要。東南アジアでは、シンガポール、インドネシア、ベトナムは真剣に防衛力構築に取り組んでいるが、他の国は現状できることに取り組んでいるに止まる。
・2国間又は多国間による安全保障協力のフォーラムが今後活発になるのではないか。米豪の「タリスマンセイバー」演習のように、軍事分野での多国間協力が深まり、非同盟主義を旨とするインドネシアのような国がそのような多国間軍事演習に参加する、過去にあり得なかったことが起きる時代。米国の核の傘の刷新や、各国の米国との同盟・パートナーシップの高度化、地域の国々によるミニラテラルな取組について、今こそ議論する時期にある。
・ASEAN全ての国との防衛・安全保障協力は時期尚早だが、幾つかの国を選んでのミニラテラルな協力は実現可能だと思われる。日本も積極的に多国間の取組に参加することで、そうした協力を既に始めていると言えるが、まだまだ拡大の余地がある。

〔鶴岡大使〕
・ロシアによるウクライナ侵攻は、核保有の価値を実証。現状はロシアの保有する核が西側諸国を抑止しており、西側諸国はロシアを攻撃できない状況にあることから、攻撃されたくなかったら核兵器を持つべきという結論になる。
・だからといって、自分は核武装により日本の安全保障環境を好転できるとは思えない。核武装には時間がかかる。日本の核能力獲得までに地域情勢は不安定化するため、日本の安全保障が危機に瀕することになる。
・通常兵器、特に海軍艦艇についての米中バランスは、数的に均衡しつつある状況。米国が世界全体にプレゼンスを維持する必要を考えれば、極東アジアに限って言えば、中国は米第七艦隊の戦力を凌駕するかもしれない。米国のプレゼンスの確度を高めるために、日本が米国の戦力を補完することが求められている。
・中国が南シナ海における海上権益の独占は、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)搭載潜水艦の生残性確保が最大の目的であると想定。中国は、自国のSLBM搭載潜水艦を、米国による監視を避けて南シナ海の海中に潜伏させておき、有事の際の第二撃能力を確保しておくことで、中国による対米核抑止の確度を高めようとしていると考えられる。これが実現した暁には、中国は米国の攻撃を心配する必要がなくなり、より軍事的に冒険主義的な活動ができるため、地域にとっては大きな脅威。
・日本も含めて関係国は、中国のこうした活動について議論する必要がある。ミニラテラルな地域の少数の有志国による会合として始めることが有効だが、閉鎖的な会合では駄目。最終的に希望する国全てが参加できるオープンな枠組みとして活動すべき。対処には時間を要するので、(議論は)可能な限り早く始めるべき。

〔宮川大使〕
・東アジアの防衛の最前線として、日本は自ら防衛力を高め、東南アジアを含めた周辺の同志国と連携しようとしている。日本の政策立案者は、中国の軍拡を踏まえ、防衛戦略の見直しや防衛力の再評価を進めており、とりわけ防衛予算の増加や防衛装備品の輸出制限の緩和といった取り組みを進めているところ。


④ 12月開催予定の日・ASEAN特別首脳会談において、取り上げられるべきテーマは何か?

〔ビラハリ大使〕
・サプライチェーンの抗堪性強化についての議論が重要。生産拠点の移転のためASEAN各国への投資が期待されるが、日本による投資の受け皿になるためにはどのような条件を満たすことが必要か、各国にアドバイスが必要。例えば労働力の確保のため何をすればよいか、教育訓練として何をすべきか、どのような規制を満たすことが必要であり、各国の現行規制のどこに問題があるのか、といった情報を提供すべき。首脳レベルの多国間の会合で大まかな方針は示せるだろうが、そうした方針を実施する際には二国間の精緻な議論が必要。首脳レベルの合意をそのままにしておかず、多国間・2国間でフォローアップが可能な会議体を立ち上げるべき。
・第二に、メコン問題も取り上げて欲しい。メコン川流域にはASEANの半数の国が存在しており、環境問題や戦略問題等様々な課題が存在。日・ASEANが共同で何ができるか、議論すべき。

〔鶴岡大使〕
・気候変動対策について取り上げるべき。気候変動対策は喫緊の課題ながら、グローバルサウス諸国ではエネルギー源の問題を伴うため、どう対処するか取り組んでいる状況。日本は現実的・漸進的なアプローチにより、2050年にカーボンニュートラルを実現する目標を立てているが、壮大な目標であり実現のためには国際協力が不可欠。日・ASEANが連携して取り組めば、お互い知恵を出し合えるし利益があるのではないか。
・もう一つ、公衆衛生問題も議論が必要。国際的に研究体制や医用品等の製造能力を高め、パンデミックへの対処能力を高める必要がある。目立つ分野であり日・ASEANが協力する必要がある。
・3つ目に人材交流強化も重要。日本による留学生受け入れだけでなく、シンガポールの大学等、ASEANの教育機関への日本の留学生派遣を促進し、日・ASEANが共同で人材開発・能力開発をしていく仕組みが必要。日・ASEAN双方で、重要な経済成長のエンジンたり得る取組。

〔宮川大使〕
・この30年間で初めて、日本政府が技術政策、産業政策を強化することを決断したが、その中の一つがテクノロジーアライアンス。日本企業が東南アジアに進出した際に、進出先国と日本が技術管理ルールについて合意することで、それら企業による中国への技術移転等を防ぐことができる。



<当日の様子>