We can fly when the headwind blows. -逆風の時は空を飛ぶ-

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第65回運輸政策セミナー「Nextインバウンド」シリーズVol.2
(オンライン開催)

Supported by 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION

日時 2020/9/10(木)15:00 ~17:10
開催回 第65回
テーマ・
プログラム
We can fly when the headwind blows. ー逆風の時は空を飛ぶー
講師 横江 友則 観光庁Visit Japan大使
     (社)グローカル交流推進機構専務理事、大阪府・市特別参与
コメンテータ 小島 克巳 文教大学国際学部国際観光学科教授
      運輸総合研究所 客員研究員

開催概要

「Nextインバウンド」シリーズは、観光庁の任命するVisit Japan大使の方々をはじめ、今後の観光戦略、施策についての示唆や手掛かりを与えて頂ける方々を順次お招きして、ご講演頂くシリーズです。
 第2回目となる今回のセミナーでは、観光庁Visit Japan大使で、(社)グローカル交流推進機構専務理事、大阪府・市特別参与の横江友則様をお招きし、この新型コロナウイルスという逆風を乗り越え、その先にある「ポスト・コロナ」の時代に求められるインバウンド観光の戦略や施策について、豊富な事例を交えて、ご講演頂きました。
 なお、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、オンラインにより開催しました。

プログラム

開会挨拶
宿利 正史<br> 運輸総合研究所 会長

宿利 正史
 運輸総合研究所 会長


開会挨拶
講  師
横江 友則<br> 観光庁Visit Japan大使<br> (社)グローカル交流推進機構専務理事、大阪府・市特別参与

横江 友則
 観光庁Visit Japan大使
 (社)グローカル交流推進機構専務理事、大阪府・市特別参与

講演者略歴
講演資料

コメンテータ
小島 克巳<br> 文教大学国際学部国際観光学科教授<br> 運輸総合研究所 客員研究員

小島 克巳
 文教大学国際学部国際観光学科教授
 運輸総合研究所 客員研究員

講演者略歴
講演資料

閉会挨拶
佐藤 善信<br> 運輸総合研究所 理事長

佐藤 善信
 運輸総合研究所 理事長


閉会挨拶

当日の結果

横江講師から、『We can fly when the headwind blows. -逆風の時は空を飛ぶ-』というタイトルでご講演頂きました。ポイントは次のとおりです。

・現在は新型コロナウイルスによりインバウンド観光は逆風を受けているが、これまでも逆風をきっかけに新しい変化が起きている。例えば、阪神・淡路大震災をきっかけに、スルッとKANSAI(鉄道事業者の共通乗車カード)をスタートした。顧客価値の追求のためにライバルとも手を組むことにより、顧客が戻り、企業価値の向上につながった。

2001年より販売している外国人向け乗り放題チケット「KANSAI THRU PASS」は、乗車券と移動目的(観光資源)とを組み合わせて制作し、地域間で相互に販売することで、関西全体の集客力の向上につながっている。

・新型コロナウイルスという逆風の中では、地方、都市、インバウンドそれぞれの課題を解決するチャンスではないか。例えば、インバウンド推進の真の意義は「インバウンドの方々を友人として迎え入れ、日本人及び日本を好きになって平和の使者としてお帰りいただく。そして、自国内に於いて日本人は親切で、日本は良い国であると言う評判を広げてもらい、次の世代に平和を紡ぐ」ということを、今一度認識して欲しい。

・地方、都市、インバウンドの課題を解決するには、①地方にモビリティを追加することにより、過疎地から密でない安全&快適地域への転換させること、②住居と交通のサブスク料金の設定により多くの移住者を増やすこと、③生成り(きなり)の日本の良さを再生し、都市の日本人とともにインバウンドの方々を地方に誘客することの3点が重要ではないか。RaaSRural life as a Service)、SaaSSuburbs life as a Service)という新しい概念を提案したい。MaaSRaaSSaaSの一部と考える。

・現在のジャパン・レール・パスをリモデルし、JR各社に加えて、私鉄、地下鉄も含めて、全国の公共交通機関が乗り放題となるインバウンド用乗車券『ALL JAPAN RAIL PASS』を新しく商品化することを提案したい。

その後、コメンテータの小島教授からは、横江講師の講演の以下の論点と関連する質問がありました。

・スルッとKANSAIKANSAI THRU PASSは事業者間の連携及び商業施設・観光施設とのタイアップにより、鉄道・バスの新たな需要を創造した。

・訪日外国人観光客にとって、交通事業者が多くて複雑といった課題があり、KANSAI THRU PASSのようなインバウンド向け共通チケットは重要である。

・新型コロナウイルスによるパンデミックにより民鉄ビジネスモデルは崩壊し、大幅減収に直面していることを踏まえ、今後の「公共交通の安定的経営」と「地方活性化」に取り組む必要がある。

 その後、山内所長がモデレーターとなり、対談を行うとともに、視聴者からも質問を受け付け、主に以下のような議論がされました。

・ポストペイ方式の全国展開について、システム的な障害は少ないが、割引が可能かという点が課題ではないか。

ICカードは単なる手段であり、固執する必要はない。今後はQRコードやアプリ、顔認証等の活用が考えられる。手段よりも重要なことは、それらを使ってどのようなサービスを顧客に提供できるかということ。

・訪日外国人観光客のコロナウイルス後の回復については、3200万人という数値ではなく、日本好きの平和の使者をいかに増やせるかということが重要。

ライブ配信の開催であり、参加者同士の顔が見えない状況ではありましたが、大学等研究機関、国土交通省、地方自治体、観光・交通事業者、コンサルタントなど、300名を超える参加者があり、また、日本のみならず海外からの参加者もあり、盛会なセミナーとなりました。

 
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