【国際シンポジウム】東京 国際航空シンポジウム-アジア・太平洋地域の国際航空の将来-
- 国際活動
- 航空・空港
主催 | 主催:一般財団法人運輸総合研究所 共催:航空政策研究会 協力:東京大学公共政策大学院 |
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後援 | 国土交通省 |
日時 | 2019/11/18(月)15:00~18:00 |
会場・開催形式 | 東京大学 伊藤国際学術研究センター内 地下2階 伊藤謝恩ホール (〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1) |
テーマ・ プログラム |
アジア・太平洋地域の国際航空の将来 |
講師 | 開会挨拶:運輸総合研究所 会長 宿利 正史 来賓挨拶:国土交通省 国土交通審議官 藤井 直樹 在日米国大使館 経済公使代行 マイケル・キャバナー 米国国務省 運輸政策担当次官補代理 ヒューゴ・ヨン 講演者:国土交通省 大臣官房審議官(航空(国際)担当) 堀内 丈太郎 米国運輸省 航空・国際担当次官補代理 デイビッド・ショート 成田国際空港株式会社 代表取締役社長 田村 明比古 パネルディスカッション モデレーター:運輸総合研究所 所長 山内 弘隆 パネリスト:全日本空輸 専務執行役員(国際提携部担当) 藤村 修一 日本航空 常務執行役員・経営企画本部長 西尾 忠男 アメリカン航空 規制・国際担当部長 ロバート・ウィリック デルタ航空 国際規制・政策担当部長 ジュリー・オッティンガー ユナイテッド航空 副社長(規制・政策担当) スティーブン・モリッシー 成田国際空港株式会社 代表取締役社長 田村 明比古 閉会挨拶:運輸総合研究所 専務理事 ワシントン国際問題研究所長 奥田 哲也 |
開催概要
アジア・太平洋地域の航空旅客輸送は、2018年に旅客数が16億人に達するなど拡大しています。同地域の航空旅客輸送が拡大を続ける中、日本では、訪日外国人旅行者の目標(2020年4000万人:2030年6000万人)の実現に向けて、更なる航空需要に対応するため、羽田空港の飛行経路の見直しや成田空港の第3滑走路の整備による首都圏空港の機能強化、空港運営民間委託(コンセッション)を通じた地方空港のゲートウェイ機能強化が推進されています。
一方、米国から日本以外のアジアへの長距離直行便の拡充、アジアの大規模空港インフラの拡張、東南アジアにおけるLCCの台頭など、アジア・太平洋地域における航空を取り巻く環境が激変しているところです。
このような状況を踏まえ、まず、先月8日にワシントンD.C.において同じテーマでシンポジウムを開催しました。本シンポジウムは、場所を東京に改めて、アジア・太平洋地域の国際航空の将来という同じテーマで、先のシンポジウムに引き続き議論を行ったものです。
シンポジウムでは、まず、当研究所宿利正史会長の挨拶に続き、藤井直樹国土交通審議官、マイケル・キャバナー在日米国大使館経済公使代行、ヒューゴ・ヨン米国国務省運輸政策担当次官補代理に来賓挨拶をいただきました。
次に基調講演として堀内丈太郎 国土交通省大臣官房審議官(航空(国際)担当)、デイビッド・ショート 米国運輸省航空・国際担当次官補代理及び田村明比古 成田国際空港株式会社代表取締役社長に基調講演を行っていただきました。
その後、当研究所の山内弘隆所長をモデレータとし、藤村修一 全日本空輸専務執行役員(国際提携部担当)、西尾忠男 日本航空常務執行役員・経営企画本部長、ロバート・ウィリック アメリカン航空規制・国際担当部長、ジュリー・オッティンガー デルタ航空国際規制・政策担当部長、スティーブン・モリッシー ユナイテッド航空副社長(規制・政策担当)及び田村明比古 成田国際空港株式会社代表取締役社長の6名をパネリストに迎え、アジア・太平洋地域における国際航空の将来展望や戦略について議論が行われました。
プログラム
開会挨拶 | |
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来賓挨拶 | |
来賓挨拶 | |
来賓挨拶 | |
基調講演 | |
基調講演 | |
基調講演 | |
モデレータ |
山内 弘隆 |
パネリスト | |
パネリスト | |
パネリスト | |
パネリスト | |
パネリスト | |
パネリスト |
田村 明比古 (基調講演者) |
閉会挨拶 |
当日の結果
・訪日観光客の急増により、日本と東南アジアのみならず、日本と米国との間も、航空路線のネットワークが充実しつつある。
・米国と東南アジアとの航空路線は、直行便も増えつつあるが、限定的であり、中継ハブは依然として重要性を増すとみられ、その中で日本は中継地点
として地勢的にもネットワーク的にも優位な位置を占めると考えられる。
・2020年の羽田の国際線増加がクローズアップされているが、首都圏における今後の国際線増加に対応できるインフラとしては、成田空港が重要。
・関空、中部、福岡、新千歳といった首都圏以外の主要な空港においても、アジア路線を中心に国際化が急速に進んでいる。これに伴い旅客をスムーズ
に受け入れるためのインフラも急速に整備されつつある。
・福岡、那覇等の空港でコンセッションが始まっており、空港の効率化・活性化も期待できる、また、日本企業の海外への空港運営の展開ともつながっ
ていく。
【米国運輸省:デイビッド・ショート 航空・国際担当次官補代理による講演のポイント】
・日米の航空関係には長い歴史があり、両国の協力関係を深化させることで障害を取り除いてきた。2010年には日米オープンスカイ協定が発効し、21%
以上の航空コスト減と26%の発着便数の増加に貢献した。
・羽田空港の国際線増便は、羽田発着の日本全国への便と接続することで、日本政府の観光客誘致の目標に貢献するだろう。
・成田空港の第3滑走路の計画を歓迎する。東南アジア諸国への直行便が増加してもアジア・米国間におけるゲートウェイとしての重要性は変わらない
だろう。
・日米の航空市場がさらに自由化されるように日米当局が取り組むことが望まれる。
【成田国際空港株式会社:田村明比古 代表取締役社長による講演のポイント】
・今後20年間で東南アジアの航空需要は年率5%の伸びが見込まれ、アジア主要空港間の競争は激化するが、旅客需要の取り込みのチャンス。
アジア主要空港との競争には、羽田・成田が一体となって対応する方針。
・成田空港の強みは、発着枠が今後増加していくこと、アジア諸都市とネットワークが今後拡大していくこと、LCCの拠点として成長しており、今後ネ
ットワークが拡大していくことである。
・成田空港においては、発着枠の増加、第3滑走路の新設、滑走路の延伸や空港の運用時間の延長等の機能強化を行う一方、空港の使い勝手、満足度を
高め、選ばれる空港となるために、ファストトラベルを推進し、ワンストップセキュリティの取り組み等を進めている。
・今後の成田空港の成長は、FSC・LCCのどちらにとっても使いやすいものとなるようにしていきたい。また、お客様にとっても幅広い選択肢を提供す
る空港としてさらに発展していきたい。
【パネルディスカッションのポイント】
アジア・太平洋地域の航空分野の成長を取り込んでいくために、航空会社、成田空港会社の戦略上、日米それぞれの航空関係者に期待することは何か、また、どのようなことを重視して取り組んでいくかについて議論がなされました。パネリストからは、安全が最も重要であり、安全を確保しながら事業をさらに展開できる環境整備の必要性、sustainabilityの観点、特に環境問題への対応の重要性等について意見が示されるなど、会場との質疑も含めアジア・太平洋地域の国際航空の将来像について活発な議論が行われました。