「本邦LCCの現況と展望について」~ 国内線での展開と長中距離国際線への進出を含めて ~

  • 運輸政策コロキウム
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第133回運輸政策コロキウム

Supported by 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION

日時 2019/10/2(水)16:00~18:00(開場15:30)
会場・開催形式 運輸総合研究所 (東京)
テーマ・
プログラム
「本邦LCCの現況と展望について」~ 国内線での展開と長中距離国際線への進出を含めて ~
講師 橋本 安男(運輸総合研究所客員研究員)
コメンテータ 花岡 伸也(東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系教授)

開催概要

 国のLCC奨励政策を背景に本邦の本格LCC2012年に参入を開始し、国内線および国際線で徐々に路線を拡大しつつある。特に国際線では2020年から世界的にも未だ試行的段階にあるLCCによる長中距離国際路線への進出が計画されている。一方、国内線においては、当初こそ高い伸び率で拡大したものの、2015年以降は旅客数シェアで910%で伸び悩み、欧米の3040%に遠く及ばず、国の交通基本計画の目標値である14%@2020年)の達成も難しい状況にある。
 本コロキウムでは、国内でのLCCシェアが低いことの要因分析、今後の本邦LCCの長中距離国際路線への進出の可能性を含め、本邦LCCの現況と展望、更なる奨励策の可能性等について考察を行った。

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プログラム

会長挨拶
宿利 正史<br> 運輸総合研究所会長

宿利 正史
 運輸総合研究所会長

所長挨拶
山内 弘隆<br> 運輸総合研究所所長

山内 弘隆
 運輸総合研究所所長

講  師
橋本 安男<br> 運輸総合研究所客員研究員

橋本 安男
 運輸総合研究所客員研究員

講演者略歴
講演資料

コメンテータ
花岡 伸也<br> 東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系教授

花岡 伸也
 東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系教授

講演者略歴
講演資料

質  疑

 
閉会挨拶
佐藤 善信<br> 運輸総合研究所理事長

佐藤 善信
 運輸総合研究所理事長

当日の結果

 当日のコロキウムでは、橋本客員研究員より本邦LCCの国内線旅客シェアに関する分析結果が示された。その結果、大阪圏発着路線でのLCC旅客シェア:25.6%、中部圏発着路線でのLCC旅客シェア:19.8%と高くなっている一方、首都圏発着路線でのLCC旅客シェアが1割程度と低い水準であることが示された。
 一方、LCC参入が国内旅客に与えた影響、及び社会にもたらした効果として、以下が見られた。
(1)国内航空需要を刺激V字回復させ、新規需要含め需要拡大
(2)LCCの参入の影響で、FSCのイールド(1旅客キロ当たり収入)が1円程度低下⇒航空運賃の年間1%程度の低減傾向を喚起
(3)山陽・九州新幹線との健全な競合を呈示⇒一部新幹線の運賃の低廉化(割引切符の販売)を実現
 LCC国内線旅客シェアの拡大の可能性として、以下が提案された。
(1)成田空港の機能強化(LCCターミナルの拡張、発着回数、発着時間の拡大等)による利便性改善に伴うLCCの利用増進
(2)LCCの規模拡大に伴う輸送量(提供座席数)増加
(3)LCC機材の増席/大型化

 コメンテータの花岡先生より国内線旅客のLCCの分析に際しては、LCC参入効果だけでは説明できない国内航空需要の底上げ(LCC未参入路線での需要増加)や、東京(羽田/成田)-大阪(伊丹/関西/神戸)といった複数空港都市間は路線間競合、新幹線の影響などの視点も重要であると示された。

 参加者との質疑では、さまざまな意見や質問が出るなど活発な議論がなされました。当日は、大学等の研究機関、国土交通省、航空会社、空港会社、その他交通事業者、コンサルタントなどから158名を超える参加者があり、盛会なコロキウムとなりました。


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