WCTRS(世界交通学会) 2026世界大会への参加報告
- 国際活動
- 他機関との交流

| 日時 | 2026/7/6(月) 〜 10(金) |
|---|
開催概要
2026年7月6日~10日に世界交通学会(WCTRS)の第17回世界大会がフランスのトゥールーズ市のキャピタル大学で開催されました。当研究所から屋井所長以下2名が参加しました。
《World Conference on Transport Research Society(WCTRS)について》
WCTRSは、1977年に設立され、3年毎に国際大会を開催しています。世界中の交通分野の研究者、管理者、政策立案者たちが発想を交換する重要な行事になっています。この分野の研究者たちの交流を促進するために、複数のSpecial Interest Groups(SIGs)を同学会は設置しており、現在、9つのトピック領域に分かれ、合計39のSIGが設けられています。WCTRSの現会長は、ブリティッシュ・コロンビア大学のTae Hoon Oum名誉教授です。因みに、運輸総合研究所の中村英夫初代研究所長は、WCTRS第3代会長でした。
今次大会の中では、当研究所から2名がそれぞれ研究調査の成果について発表を行いましたた(各発表の概要は後述)。今大会で約1500名が参加しました。発表テーマは、次のトピック領域に整理されました:A.交通モード一般/B.貨物輸送と物流/C.交通の管理・運用・制御/D. 活動と交通需要/E.交通の経済・財政/F.交通・土地利用・持続可能性/G.交通計画と政策/H.開発途上国と新興国における交通/I.インフラの設計と保守
なお、次回大会は3年後の2029年7月に豪州・ブリスベン市で開催予定です。
当日の結果
〇当研究所からの各発表の状況
■セッションG4-TS04A-SIG4:交通における文化的・社会的課題-アクセシビリティの概念と指標の再考
●発表
7月8日のPaper Session「アクセシビリティの概念と指標の再考」では、LEUNG Abraham Chik Keung研究員が、豪州サンシャインコースト大学のLynette CHEAH教授との共同研究「日本と豪州における自動車依存の2地域における多元的交通貧困の確認」(原文は英語)を発表しました。本研究では、日本の富山県と豪州・南東クイーンズランド州北部沿岸地域を対象に、人口構成、自動車利用水準、ならびに医療、教育、買物及びレクリエーション等の基本的サービスへの公共交通アクセシビリティを分析しました。その結果、特に郊外・辺境地域では、病院その他の基本的サービスへの高齢者の公共交通アクセスが限られていることがわかりました。これは、マイカーを運転できない、または利用できない人々にとっての大きな課題です。

発表するLEUNG研究員

アクセシビリティ分析の結果(LEUNG研究員の発表スライド)
■ポスターセッション
●発表
7月9日のPoster Sessionでは、屋井鉄雄所長が、「日本における自転車空間政策と計画の変革―側道から道路へ:20年間の発展」(原文は英語)と題してポスター発表を行いました。本研究では、2007年以降、自転車の歩道通行中心政策から車道通行原則へと日本が転換した経過と成果を整理しました。しかし、依然として多くの自転車運転者が歩道を利用し続けており、自転車のためのインフラの提供は不十分です。当該研究は、将来のインフラ発展のための主な課題を確認した上で、複数のアプローチを提案しました。

発表する屋井所長

会場に掲示された発表ポスター
■産業洞察パネルセッション
6つの産業洞察パネルセッションでは、大会スポンサーからの地域に関する追加的な知見が提供されました。中でも関連の深いのは、トゥールーズが所在するオクシタニー(Occitanie)地域により7月9日に開催されたセッション「持続可能なモビリティの先駆的取組―南フランスの戦略的優位性」です。オクシタニー地域経済開発機構(Ad’Occ)を含む同地域の行政関係者は、研究者と共に、脱炭素化及び持続可能なモビリティのための同地域の取組を発表しました。発表では、①水素及びパワーエレクトロニクスの地域産業分野、②技術と利用の両面から将来のモビリティを支える研究、③地域レベルの協力とイノベーションを促進するモビリティデータ、の3つの作業が取り上げられました。

パネルセッションの様子
(登壇者左から)
Bruno GUILLET氏(Ad'Occ投資・貿易プロジェクトマネージャー)
Elsy KADDOUM氏(トゥールーズ大学コンピューター科学准教授)
Benjamin FEVRE氏(Ad'Occイノベーションプロジェクトマネージャー兼水素分野専門家)
Mathilde CADIC氏(Ad'Occ持続可能かつスマートな陸上モビリティ専門家)
■現地見学会
最終日の午後、当研究所の研究員が、トゥールーズ・メトロのFrançois Verdier駅及びC線延伸工事の現地見学会に参加しました。全長約27kmの同線は、21駅と、既存のメトロ、トラム及び国鉄と接続する5つの主要乗換拠点で、ColomiersとLabègeを結ぶ予定です。また、Toulouse-Matabiau駅へのアクセスを改善し、空港方面へはメトロとトラムの乗継ぎを提供する予定です。1日約20万人の乗客を運び、2028年末に開業することが見込まれています。

トゥールーズ都市圏のモビリティ組織当局(AOM)である
Tisséo Collectivitésの職員が案内

C線駅入口の完成イメージ
■現地交通・モビリティ事情

高頻度運行(2分間隔)の自動運転メトロ

空港シャトルルートの電気バス

車両の進入を制限する昇降式ボラード

歴史的中心市街地を運行する無料電気ミニバス

VélôToulouseのシェア自転車
(クレジットカードで機能するタッチスクリーン式端末〔一部の設置場所のみ〕、
スマホアプリ又はICカードで利用可能)

シェア自転車再配置用車両

夏季には、Saint-Pierre橋は自転車と歩行者専用になる
■セッションG4-TS04A-SIG4:交通における文化的・社会的課題-アクセシビリティの概念と指標の再考
●発表
7月8日のPaper Session「アクセシビリティの概念と指標の再考」では、LEUNG Abraham Chik Keung研究員が、豪州サンシャインコースト大学のLynette CHEAH教授との共同研究「日本と豪州における自動車依存の2地域における多元的交通貧困の確認」(原文は英語)を発表しました。本研究では、日本の富山県と豪州・南東クイーンズランド州北部沿岸地域を対象に、人口構成、自動車利用水準、ならびに医療、教育、買物及びレクリエーション等の基本的サービスへの公共交通アクセシビリティを分析しました。その結果、特に郊外・辺境地域では、病院その他の基本的サービスへの高齢者の公共交通アクセスが限られていることがわかりました。これは、マイカーを運転できない、または利用できない人々にとっての大きな課題です。

発表するLEUNG研究員

アクセシビリティ分析の結果(LEUNG研究員の発表スライド)
■ポスターセッション
●発表
7月9日のPoster Sessionでは、屋井鉄雄所長が、「日本における自転車空間政策と計画の変革―側道から道路へ:20年間の発展」(原文は英語)と題してポスター発表を行いました。本研究では、2007年以降、自転車の歩道通行中心政策から車道通行原則へと日本が転換した経過と成果を整理しました。しかし、依然として多くの自転車運転者が歩道を利用し続けており、自転車のためのインフラの提供は不十分です。当該研究は、将来のインフラ発展のための主な課題を確認した上で、複数のアプローチを提案しました。

発表する屋井所長

会場に掲示された発表ポスター
■産業洞察パネルセッション
6つの産業洞察パネルセッションでは、大会スポンサーからの地域に関する追加的な知見が提供されました。中でも関連の深いのは、トゥールーズが所在するオクシタニー(Occitanie)地域により7月9日に開催されたセッション「持続可能なモビリティの先駆的取組―南フランスの戦略的優位性」です。オクシタニー地域経済開発機構(Ad’Occ)を含む同地域の行政関係者は、研究者と共に、脱炭素化及び持続可能なモビリティのための同地域の取組を発表しました。発表では、①水素及びパワーエレクトロニクスの地域産業分野、②技術と利用の両面から将来のモビリティを支える研究、③地域レベルの協力とイノベーションを促進するモビリティデータ、の3つの作業が取り上げられました。

パネルセッションの様子
(登壇者左から)
Bruno GUILLET氏(Ad'Occ投資・貿易プロジェクトマネージャー)
Elsy KADDOUM氏(トゥールーズ大学コンピューター科学准教授)
Benjamin FEVRE氏(Ad'Occイノベーションプロジェクトマネージャー兼水素分野専門家)
Mathilde CADIC氏(Ad'Occ持続可能かつスマートな陸上モビリティ専門家)
■現地見学会
最終日の午後、当研究所の研究員が、トゥールーズ・メトロのFrançois Verdier駅及びC線延伸工事の現地見学会に参加しました。全長約27kmの同線は、21駅と、既存のメトロ、トラム及び国鉄と接続する5つの主要乗換拠点で、ColomiersとLabègeを結ぶ予定です。また、Toulouse-Matabiau駅へのアクセスを改善し、空港方面へはメトロとトラムの乗継ぎを提供する予定です。1日約20万人の乗客を運び、2028年末に開業することが見込まれています。

トゥールーズ都市圏のモビリティ組織当局(AOM)である
Tisséo Collectivitésの職員が案内

C線駅入口の完成イメージ
■現地交通・モビリティ事情

高頻度運行(2分間隔)の自動運転メトロ

空港シャトルルートの電気バス

車両の進入を制限する昇降式ボラード

歴史的中心市街地を運行する無料電気ミニバス

VélôToulouseのシェア自転車
(クレジットカードで機能するタッチスクリーン式端末〔一部の設置場所のみ〕、
スマホアプリ又はICカードで利用可能)

シェア自転車再配置用車両

夏季には、Saint-Pierre橋は自転車と歩行者専用になる


