第4回日韓JMC/JTTRI-KMI/KUMLC交流セミナー

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日時 2026/4/15(水)

開催概要

 韓国海洋水産開発院(KMI:Korea Maritime Institute)及び高麗大学海上法研究センター(KUMLC:Korea University Maritime Law Centre)と日本海事センター(JMC:Japan Maritime Center)及び運輸総合研究所(JTTRI)との間で始まった定期交流の一環として、2026年4月15日(水)に東京(JTTRI会議室)において、第4回日韓JMC/JTTRI-KMI/KUMLC交流セミナーを開催しました。これは、4機関の間で2024年に締結した相互交流及び研究協力を目的とする了解覚書(MOU)に基づき、2025年4月にソウル(高麗大学)で開催した第3回交流セミナーに続くものです。
 今回は、KMIからチョ新院長(昨年4月就任)を含む4名、KUMLCからキム所長、日本側にあってはJMC/JTTRIの宿利会長のほか、JMCから平垣内理事長及び坪井常務理事を含む10名、JTTRIから屋井所長を含む6名が参加し、2つのセッションにおいて、テーマに応じて日韓からの研究発表と議論を行いました。前日14日には、佐川急便の物流施設Xーフロンティア(東京都江東区)の現地見学会が行われました。
 なお、次回は2027年頃に韓国で開催される見込みです。

当日の結果

開会挨拶
 冒頭、宿利会長が歓迎挨拶で、大要次の3点について述べました。
①昨今の海事を巡る状況は極めて厳しく、2月末からの米国及びイスラエルによるイランに対する攻撃とその報告攻撃により、輸入原油の相当割合を中東地域に依存する日韓双方にとっても、エネルギーの安定供給の面から極めて深刻な状況であると同時に、世界経済にも大きな影響を与えている。そういう状況の中で、世界有数の海運国である日韓両国で、セッション1のシーレーンという重要なテーマについて有意義な議論が行われることを期待している。
②昨年、IMOにおいてMARPOL条約の改正案の採択が延期となり、本年11月に改めてIMOにおいて採択のための審議が行われることとなっている状況で、セッション2の海事分野における脱炭素化というテーマも日韓両国にとって非常に重要なテーマであると同時に、時宜にかなっている。
③本日のセミナーが日韓両国の4つの研究機関の発展と、国際海運の安定的な発展を含め海事分野が抱える国内外の様々な課題の解決の一助となることを期待すると共に、日韓両国の友好協力関係の一層の強化に寄与することを期待

 続いてチョ院長が、日韓両国はグローバル海運・物流の中核パートナーとして共通の課題に直面していること、今回の現地見学で直接確認した知見を、実効性のある協力策を模索するための政策的な議論へと発展させ、海運・物流の持続可能な未来を切り開く基盤(プラットフォーム)となることを本日のセミナーに期待していること等を述べました。

 続いてキム所長が、専門家が深い議論で問題意識を以て方向性を出し、言語の壁を超えるAIによる知識伝達・分析能力を活用して適切な解決策を見い出すことを期待すること脱炭素化と第3回以来の海上輸送路のテーマのいずれも重要であること、第2ラウンド(注:第1回日本開催の後、第2回及び第3回は韓国開催で、今回再び日本開催となった)の開始に当たり、共同研究を含めより体系的で深化した協力が必要な時期であること、チョ院長による共同研究の提案に感謝すること等を述べた。

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      宿利会長

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      チョ院長

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      キム所長


セッション1「シーレーン」

(研究等発表と意見交換)

 日本船主協会平尾常務理事・海務部長が「中東の状況が日本の海事産業に与える影響と対応」(原文は英語)と題して発表しました。その概要は以下のとおりです。
〇2026年2月28日に米国・イスラエルがイランを空爆し、同日に、イランがホルムズ海峡の封鎖を通告してきた。日本船主協会は3月1日に海事等対策本部を立上げ、国土交通大臣及び外務大臣に、ペルシャ湾における船舶の安全を確保するための措置を要請。現在、日本の海運事業者が運航する42隻(乗組員1,100名、うち日本人20名)が同湾に留め置かれている。
○このような船舶では、食料(湾岸で既調達)、水(造水器による)及び燃料(もともと長距離航海を想定)は不足しておらず、各船が外務省と常時通信可能であるが、乗組員の持病の処方薬の不足を懸念。緊張が続く海域での乗組員の精神状態も懸念している。外国人船員について下船は可能だが政府の方針で乗船が出来ない外国人船員もいる。可及的速やかに全乗組員・船舶をペルシャ湾から避難させたい。資源の速やかな運搬を要請する国の船舶についてはペルシャ湾から出域したものもある。
○ホルムズ海峡に対する代替輸送ルートとしては、ペルシャ湾の外側のオマーン又はUAE(フジャイラ)から積み出す方法がある。紅海側のヤンブーから積み出す方法もあるが、紅海のバブ・アルマンデブ海峡はフーシ派が脅威となるため日本関係船舶は2023年以来通航しておらず、スエズ運河経由喜望峰回りとなるとホルムズ海峡からの20日間の倍以上の50日要し、しかもスエズ運河はVLCC(very large crude oil carrier)が満載では通れないので、スエズ運河の通過前に約半分の荷を降ろし、スエズ運河通過後に地中海側でパイプライン経由で受取る。そうすると50日以上要する。

 続いて、JMC松田客員研究員が「ホルムズ海峡封鎖の日本への影響」(原文は英語)と題して発表しました。その概要は以下のとおりです。
○中印日韓への影響が大きい。ペルシャ湾に船籍を問わず約3,300隻が残置。その結果、例えば原油価格は上昇し、停戦合意で下がったが、現物価格は下がっていない。
〇代替ルートにより距離が倍になるとより多くの船舶を必要とする。満載にできないという事情もある。このため、傭船料が増加し、石油価格の上昇圧力となる。カタールのLNG用施設が破壊され修復に3-5年要す。燃料油価格も上昇。日本は石油備蓄を放出するが、消費者に届くまでに1年ぐらいかかる。LNGは備蓄なし。このため、どう中東依存度を減らすか。エチレン原料のナフサ不足で、医療、住宅(ユニットバス)受注に影響。石油化学製品の不足は、人工透析、プラスチック、建設に影響。
〇保険が引受けられないことによる事実上の封鎖効果もある。コンテナ船のサーチャージも上昇
〇軽油価格の上昇が国内物流にも影響し、営業利益率が低いトラック運送では、50台以下の中小企業では、赤字になりやすく、価格転嫁も限界がある。軽油が届かない部門もある。

続いて、KMIチョイ海事政策研究課長が「米国-イランの中東戦争による海事物流に対する影響」(原文は英語)と題して発表しました。その概要は以下のとおりです。
 ○湾岸からのナフサ輸入が多いいのは日韓、韓国は石油集約度がOECD諸国で1番、
〇代替ルートとして、サウジアラビアの東西パイプラインでヤンブーから積み出すルートがあるが、フーシ派からの攻撃リスクがある高リスク地域と認定されていたところ、韓国政府は認定を緩和。海運会社は、貨物運賃の下落と燃料費増加という二重苦に直面している。
〇戦略的産品供給の多様化支援として、韓国の経済保安のためのサプライチェーン安定化支援基本法の下で緊急輸送費補助の提供、緊急輸送への船会社の参加を促進するための国家重要船舶システムの下での損失補償の強化及び状況に基づいた高リスク地帯通航制限の柔軟化の適用を提案

 続いて、KUMLCキム所長が「中東紛争の法的示唆」(原文は英語)と題して発表しました。その概要は以下のとおりです。
○イランは国連海洋法条約を批准していないが、コルフ海峡事案に照らすと、国際慣習法により、ホルムズ海峡は無害通航権が付与される国際海峡と認められ、これより強い通過通航権が享受されるが、イランが設定した分離通航方式に従う義務がある。国連海洋法条約上、沿岸国は、通航税等の付加的義務を課してはならない。一方、実態として通航税が戦時に課される場合は偶然事情によるものとして船主責任保険でカバーされる可能性を検討する余地がある。
〇船会社と荷主の関係において、貨物を代替港で荷上げする場合に、不可抗力(戦争等)によることを立証すれば、韓国でも日本でも法律により、運送人は免責される。
〇船体保険で、戦争リスクは保険でカバ-されないが、船舶が危険地域に入る場合は、戦争リスク保険という特別な保険に加入すれば、船舶所有者が保険でカバーされる。

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     平尾常務理事

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     松田客員研究員

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      チョイ課長

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      キム所長

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      イ本部長

 続くフリーディスカッションにおける質疑の概要は次のとおりです。
【平尾常務理事】
〇チョイ課長の発表で紹介された高リスク地域の認定緩和の方法は?
【チョイ課長】
〇高リスク地域は2023年に指定され、そのためにヤンブーの港からの搬出が止まった。戦略貨物(LNG、原油、鉄鉱及び石炭)については船員全員の同意があれば通航できることとした。なお、軍艦による護衛はしていない。
【KMIイ海運物流・海事研究本部長】
〇キム所長の発表について、船会社と荷主の間で、損害をどちらが負担するのか法的係争が生じたらどうなるのか?
【キム所長】
〇Liberty clauseによれば最も適切な代替港で下せばよいことになるが、荷主に事前に知らせずに別の港で下せば当該条項違反になる。
【宿利会長】
〇チョイ課長から発表された提言の第1点について、基本法については、第3回セミナーの中でキム所長から説明がされたが、補助は自動的に適用されるのか、政府のアクションが必要か?第2点について、損失補償は、従来よりも手厚くするのか?
【チョイ課長】
〇サプライチェーン安定化支援基本法については、以前の法律が本年1月に改正され新たに適用されることとなった。さて、第1点について、自動ではなく、要請に応じて基金が支援する体系である。例えば、ペルシャ湾に閉じ込められた中小船主に対して支援する案が出された。また、海運サービスとしての先導事業者(例えば、供給網の安定のために特定のグローバルターミナルへの投資を行い、特定の船舶を建造するHMM)としての申請に対して基金が支援する。
【キム所長】
〇戦争が始まってしまったので、ホルムズ海峡に閉じ込められている船主等が非常に高い追加保険料を払うことになる。これについては、政府保険に関する政府予算で対応するように国会で話をしてくるつもりだが、日本の専門家はそれをどのように考えているのか?
【JMC仲村企画研究部長】
〇本件はJMC中村上席研究員のカバーする範囲であるが、本日はIMO対応で不在のため、後日メールにて回答する。


セッション2「海事分野における脱炭素化」

(研究等発表と意見交換)

 JMC森本上席研究員が「海事脱炭素化に関するJMCの研究」(原文は英語)と題して発表しました。その発表の概要は以下のとおりです。
○JMCは2007年に公益財団法人として設立。研究分析を実施するとともに、産学官連携を促進。5つの委員会を実施しており、そのうちの環境問題委員会においては、国交省からの受託などにより脱炭素化に関する日本の提案に資する調査分析を実施。国際海事機関(IMO)におけるネットゼロフレームワーク(NZF)に関する新たなルールのスキームの検討、コスト分析などを行うとともに、JTTRIを含め海事関係機関の検討委員会への参加や共同研究を実施。
○共同研究の事例としては、東大の柴崎准教授らとともに、GHGプライシングが世界経済や地域経済にどのような影響をもたらすか、貿易量やGDPの変化率について経済モデルを使って定量的に評価を行った。炭素価格が50ドルの場合、貿易量とGDPはそれぞれ0.1%、0.03%減少した。影響評価の結果、海上貿易依存度が高く、GDPが小さい国がGHGプライシングの影響を受けやすいことがわかり、制度設計にあたっては、LDCsやSIDsの中でも所得の低い国に配慮すべきとの結論を得た。
○コンテナ船へのNZFの影響に関して、上海~LA航路で事例検証したところ、海運マーケットの運賃の変動に対して、NZFによる運賃の変動は小さく、その影響は小さいことがわかったが、実際の影響は航路や商品によって変わるもの考えられる。
〇NZFに係る条約改正を受諾しない国が生じた場合の非締約国船舶に対するPSCを含めて、寄港国管轄権の行使の法的根拠についても研究した。
〇日本における脱炭素化の研究開発の動向としては、GI基金により水素燃料船、アンモニア燃料船、LNG燃料船のメタンスリップ対策の3つの研究項目が設定されており、例えば、2ストローク水素燃料エンジンでは混燃実験が始まり、大型商業アンモニア燃料エンジンの実証運航は年内に実施予定とされるなど、概ね予定どおりに行われている。
〇今後の展望としては、NZFにおけるLNGの位置づけと課金制度が主要論点となる。IMOで新たなルールが合意されてもされなくても、海事産業の燃料転換については特にサプライチェーンの整備の観点で国際的な協調が重要であり、日韓両国で共有できる部分は協力していくべき。

 続いてJTTRI久保研究員が「交通分野におけるグリーン化の統合ロードマップ及び「水素基盤燃料のサプライチェーン」に関する提言」(原文は英語)と題して発表しました。その発表の概要は以下のとおりです。
〇JTTRIでは、2023年からは国内交通に関する調査研究を実施。各モードの位置付けを認識する総論的な研究と、現在の技術であと少しで具体化できるものの課題解消に向けた各論的な研究を行っており、本日はその両面での研究成果を報告。
〇日本政府は、2050年カーボンニュートラルを正式に掲げて以降、対策を強化し、2040年度に2013年度比で運輸部門は64-82%削減を目指している中、交通分野は現状の推移でカーボンニュートラルを達成できるのか、シミュレーションにより分析。その結果、電力・水素・合成燃料などの既存の取組ベースで設定したシナリオでは政府目標に届かないことから、目標達成には現状以上の強力な施策導入が不可欠であることがわかった。この結果も踏まえ、JTTRIとして、交通分野横断的なロードマップの策定や、インセンティブと規制の必要性、輸送機器とエネルギーの供給体制の構築、運送事業者の脱炭素コストの負担低減、サプライチェーンにおける排出削減を評価する仕組、利用者・社会の理解と行動変容促進など、6つの具体的な提言をまとめた。
〇国内における水素を利用した船舶の開発状況としては、水素と軽油の二元エンジンや水素燃料電池を利用した小型旅客船が開発・就航しているが、内航海運分野だけでは十分な水素需要が見込めず、供給サプライチェーン構築が進んでいないのが現状であり、これは、鉄道などの他分野も同様。そこで、2023年から行った研究では、海外から輸入した水素がベースとなるとの想定の下、運輸部門全体における水素の活用状況を調査し、水素サプライチェーンの構築も踏まえた、内航海運を含む複数のモードで水素供給インフラを共有する実現性の高いモデルを特定した。交通分野における水素利用の普及拡大に向けて必要な提言として、複数の交通モードでの水素供給インフラを共有化するため、マルチモーダルな運用方法や管理方法の検討、先行地域における実証・導入による普及拡大、専門人材の育成や水素利用を選択するような行動変容を促す仕組み作りなどを挙げた。
〇日本の国内の海運の脱炭素化に関する政策として、政府の脱炭素目標やGX推進法の適用、そしてその課題について紹介した。

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    森本上席研究員

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     久保研究員

 続いて行われたフリーディスカッションの議論の概要は以下のとおりです。
【福山客員研究員】
〇内航海運の脱炭素化を具体的に進めるにあたり、ビジネスとしての成功・実現が必要と思うが、どのような政策が考えられているか。
【久保研究員】
〇技術開発などは外航海運から行われ、その中から可能なものが内航にも導入される。GX推進法の対象事業者を狭めて、内航海運の実情を踏まえつつ、できるところからやっていくという方針。
【チョイ室長】
〇韓国では内航船の補助対象となる環境認証の水準が厳しい(1~5等級の内1~3等級のみを認証)。日本でも同様の認証・補助制度はあるのか。
【森本上席研究員】
○日本ではグリーン船舶の優遇措置として、建造船の利子優遇や特別償却など税制優遇を行っている(詳細は後日回答する。)
【イ本部長】
○水素燃料の普及の取組みについて、具体的な数字を出して政策へ反映されることは想定されているのか。地理的な拠点設定などは?
【久保研究員】
○海運について1つのモデルを示したが、トラックにフォーカスしたものもある。その後の活用はまだできていないが、マルチモーダルな取組みが必要であることを特定したのが現在の成果。
【キム所長】
○水素の液化輸送は超低温(-250度)にする必要があり大変なのでは?韓国ではアンモニアから水素燃料を製造するが日本でははじめから液化水素で輸送するのか。
【久保研究員】
○本研究は、海外から輸入する水素を活用することを前提として、大型船で港湾に受け入れ、そこからマルチモーダルに供給することを想定したもの。

 続いて、KMIアン副研究員が「国際海運の脱炭素化に関する動向と概況」(原文は英語)と題して発表しました。その発表の概要は以下のとおりです。
〇IMOのNZFの中期的措置の概要とともに、米国による反対、中期的措置の採択の1年延期にかかる動向を紹介する。
〇2026年始に発表された、米国の国益に反する国際機関、条約及び協定からの離脱に関するトランプ大統領の覚書は、法的拘束力を持つ行政文書。2025年2月に大統領指示により国際機関等の見直しが指示されたものであり、同覚書により米国大統領は指定した国際機関等(IPCC、UNFCCC、IRENA等を含む)について迅速な撤退を指示。その中にはIMOは含まれていないが、今後も係るレビュープロセスは継続的に行われるとされる中で、先日、IMO事務局長が、イランだけではなく米国もホルムズ海峡を封鎖する権利はないと発言したことにより、米国とIMOとの葛藤が深まることを懸念。
〇米国はIMO・NZFの中期的措置について、関税を付加するものとして反対するとともに、他国に対して追加関税や制裁など行政・財政的な行動を示唆することにより圧迫し、結果、採択は1年延期された。サウジアラビアや中東の国々は米国とともに反対。ブラジルや南アフリカは中期的措置を支持。中国は最初支持していたが、最終的に米国と同じ立場となり、ひとまずの延期を支持。ロシアは米国やサウジアラビアと歩調を合わせた。EUは団結して支持する立場だが、ギリシャがサウジアラビアと歩調を合わせる動きも見せている。現況を見るに2026年の採択も厳しそうであり、延期は2~3年におよぶ可能性も考えられる。

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     アン副研究員

 続いて行われたフリーディスカッションの議論の概要は以下のとおりです。
【森本上席研究員】
〇(Q1)IMOで今年乃至数年内に合意ができなかった場合、地域規制が広がることも考えられるが、今後の展望をどう見ているか。(Q2)地域規制の乱立の可能性に対する韓国内の反応は?
【アン副研究員】
〇(Q1につき)EUは地域規制を強化していく可能性が指摘されている。
○(Q2につき)一括して中期措置に行く方が、韓国の海運業界として理解がしやすく、地域規制の乱立への懸念はある。一方で、荷主や船社はIMOの中期措置の延期を歓迎する声があった(NZFの規制が厳しすぎるとの反応)。
【キム所長】
○韓国ではLNGを10年間は使い、その後はアンモニアに移行するとみているが、日本は船舶燃料について水素が有力とみているのか。
【森本上席研究員】
○外航海運の分野においての燃料については、短期間においてはバイオ燃料とLNG、その後はアンモニア、メタノール、風力など多方面の技術の活用が想定されている。


閉会挨拶

宿利会長は、回を重なる毎にテーマ選定と発表に磨きがかかっており、こうした活動を日韓で続けることにより、質を高めて海事分野に貢献していきたい旨を、チョ院長は、デリケートな内容も発表しあえる場を韓国でも機会があれば次回準備していきたい旨を、キム所長は、シーレーンの問題も含めて今後も興味を持って取り組んでいきたい旨を、それぞれ述べました。また、JTTRI屋井所長は次の旨を述べました
①中東原油のシーレーン確保は極めて難しく、直ちに解決できないとしても、代替可能な燃料や原料の中長期的開発の好機とすることが考えられる。相互に知見を高めながら取り組んでいくことが期待され、JTTRIとしても多方面の研究を行う中で模索していきたい。
②脱炭素については、トランプ政権の対応により厳しい状況もあるが、内航海運の脱炭素については日本国内でもあまり進展しておらず、産業界のトップレベルの理解がないと新技術の導入を含めた船舶更新が難しいが、このような問題の研究を含めて、共同して成果を出せることを期待する。

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      屋井所長