ATRS(国際航空輸送学会) 2023世界大会への参加報告

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Supported by 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION

日時 2023/7/1(土) 〜 4(火)
202371日~4日に神戸市で開催されたATRS(国際航空輸送学会) 2023世界大会において、当研究所から7名が参加し、次の活動を行いました。

1.
研究発表
71日のOnline Paper Session「航空輸送需要&Covid-19」において、「航空産業に対するCovid-19の影響とその対策」(原文は英語)と題して藤村特任研究員が発表を行いました。主旨は次の通りです:コロナは航空業界に大きなダメージを与えた。いずれの航空会社も一様に資金の確保、事業規模の縮小、非航空収入の拡大に動いた。しかし、いくつかの航空会社は独自の戦略を採って危機を乗り越えた。
(1)韓国・台湾の航空会社は貨物事業を強化して旅客収入の急減を穴埋めした。
(2)日本の航空会社は外国人の入国禁止措置で皆無となったインバウンド需要に替わるものとして成田空港での乗り継ぎ需要を確保した。
(3)東南アジアの航空会社は収益性悪化を食い止めるため赤字額のかさむ長距離路線を休止・減便したが、他社のフライトにコードを振ってマーケット・プレゼンスを維持した。
72日のPaper Session「航空輸送における持続可能性2」において、当研究所の共同研究調査「航空分野におけるCO2削減取組み」の成果を踏まえ、「日本の航空分野におけるCO2排出削減の手法」(原文は英語)と題して黒川主任研究員が発表を行いました。当研究所の共同研究調査「航空分野におけるCO2削減取組み」(2020年度-2022年度)の成果を踏まえ、SAFの国内製造量ポテンシャルの長期推計と、航空技術・運航改善・燃料に関する9通りのシナリオ組合せ毎の日本の航空分野からの長期的な CO2排出削減量の長期推計を行い、日本の航空分野における長期目標(2050カーボンニュートラル)を実現するための関係者による必要な対応のロードマップを示しました。合わせて次世代 SAFの取組みを2020年代から始めること、航空新技術における日本の関係者の貢献等を提案し、この研究が契機となり、SAFのサプライチェーン構築に取組む官民の作業グループが設置されたことも報告しました。
                             
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     オンラインで発表する藤村特任研究員              発表する黒川主任研究員


2.JTTRI賞の授与

73日の授与式では、当研究所宿利会長から、出席者に向けて挨拶を行う中で当研究所の紹介を行うとともに、今次神戸大会のために創設した2023 JTTRI Best Paper Awardの受賞論文を発表し、"Verification of fuel efficiency using the A320neo simulator by combining fixed-flight path angle descent and speed control to Kansai International Airport"東京大学先端科学技術センターの博士課程岩田大輝氏、修士課程野中裕樹氏及び伊藤恵理教授の共著)に対し、表彰を行いました。

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   挨拶の中で当研究所を紹介する宿利会長         JTTRI Best Paper Awardの受賞者と共に


3.ブースの出展

当研究所は、神戸大会におけるGold Sponsorの立場で、新たな取組みとして会場内にブースを出展しました。ANA及びJALのご協力を頂き、日本の航空分野の環境問題への取組みに関する展示を行ったほか、当研究所の概要やこれまでの研究成果を紹介するパンフレットを配布し、参加した研究員が各国の研究者へ向けて当研究所の広報活動を行いました。

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        当研究所ブースでの展示