タイにおける鉄道整備と沿線開発に関する国際セミナー
- 国際活動
- 鉄道・TOD
主催 | 一般財団法人運輸総合研究所 |
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後援 | 国土交通省 在タイ日本大使館 独立行政法人国際協力機構(JICA) タイ運輸省(MOT) |
日時 | 2020/1/14(火)9:00~12:05 |
会場・開催形式 | ウェスティン・グランデ・スクーンビット(バンコク)ボールルームA7F |
テーマ・ プログラム |
鉄道整備と沿線開発 |
講師 | 開会挨拶:宿利 正史 運輸総合研究所 会長 来賓挨拶1:Sorapong Paitoonphong タイ運輸省鉄道局長 岡西 康博 国土交通省国際統括官 関口 昇 在タイ日本国大使館公使 基調講演:「Transit Oriented Urban Development in Asian Cities」 森地 茂 政策研究大学院大学政策研究センター所長、運輸総合研究所アドバイザー 報 告:「Railway and Area Development」 武藤 雅威 運輸総合研究所主任研究員 パネルディスカッション: モデレータ:日比野 直彦 政策研究大学院大学 准教授 パネリスト:Sorapong Paitoonphong タイ運輸省鉄道局長 森地 茂 政策研究大学院大学政策研究センター所長、運輸総合研究所アドバイザー 福田 敦 日本大学教授 来賓挨拶2:アーコム・トゥームピッタヤーパイシット タイ王国 前運輸大臣 閉会挨拶:奥田 哲也 運輸総合研究所 専務理事 |
開催概要
道路混雑や環境汚染などの問題に直面しているASEANの大都市では、鉄道整備が進められており、バンコクでもMRTオレンジラインをはじめ多くの路線の建設が進められています。持続可能な鉄道整備においては、鉄道整備と沿線開発を一体的に考えることが効果的な施策であり、日本はそのような鉄道整備と沿線開発に関する多くの知識・経験を有しているところです。鉄道整備と沿線開発に関する日本の知識・経験や世界の最新情報について共有するとともに、パネルディスカッションを通じて有効な取り組みについて議論を行うため、本セミナーを開催しました。
本セミナーでは、まず、当研究所宿利正史会長の挨拶に続き、Sorapong Paitoonphong タイ運輸省鉄道局長、岡西康博 国土交通省国際統括官、関口昇 在タイ日本国大使館公使に来賓挨拶をいただきました。
前半は、政策研究大学院大学政策研究センターの森地茂所長に基調講演を行っていただき、武藤雅威主任研究員より研究内容について報告をしました。
後半はSorapong Paitoonphong タイ運輸省鉄道局長、森地茂 政策研究大学院大学政策研究センター所長、福田敦 日本大学理工学部交通システム工学科教授をパネリスト、日比野直彦 政策研究大学院大学准教授をモデレータとして、バンコクにおける鉄道整備と沿線開発に関する課題と展望についてパネルディスカッションを行いました。
セミナーの最後には、アーコム・トゥームピッタヤーパイシット タイ王国前運輸大臣にセミナーを総括する来賓挨拶をいただきました。
プログラム
開会挨拶 | |
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来賓挨拶 | |
来賓挨拶 | |
来賓挨拶 | |
基調講演 | |
報告 | |
パネルディスカッション |
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モデレータ |
日比野 直彦 |
パネリスト | |
パネリスト |
森地 茂 |
パネリスト | |
来賓挨拶 | |
閉会挨拶 | |
司会 |
福田 トゥエンチャイ |
当日の結果
森地所長から、アジアの大都市において何故TODが必要なのか、鉄道整備財源に開発利益を取り入れる際の課題、都市鉄道網を密に整備することで駅へのアクセス性を良くすることの重要性、アジアの鉄道プロジェクトにおけるPPP導入の失敗から何を学ぶべきか、について説明いただきました。
次に、武藤主任研究員より、ASEANの大都市において鉄道整備をする際の課題について述べ、日本における鉄道整備と沿線開発連携の好事例、および鉄道整備財源確保に向けた国内外の開発利益還元手法を紹介し、バンコクでの鉄道整備における課題と対応案について、報告しました。
【森地 茂 政策研究大学院大学政策研究センター所長による基調講演のポイント】
・開発利益還元策には、税、債券、負担金、都市再開発スキームなど、様々な種類があるが、TODの履行により、開発利益を増加させる可能性がある。
・ASEAN諸国では、鉄道の沿線開発が限定的であった。その理由は、TOD制度の脆弱性にある。都市計画システムの改善や、住民とコンセンサスを形
成するメカニズムなどの制度改革を提言したい。
【武藤 雅威 運輸総合研究所主任研究員による報告のポイント】
・日本の田園都市線のTODでは、沿線での宅地開発が進み、鉄道旅客が増え、地価も上昇した。その背景として、日本が高度成長期にあったこと、鉄道
会社が統一したコンセプトにより都市開発計画を強力に推進したことがあげられる。
・受益者負担金や空中権売却などの開発利益還元手法の各事例では、資金的に厳しい鉄道事業の立ち上がり時期に、これらの手法を有効に用いて、資金
調達をしている。
【パネルディスカッションのポイント】
バンコクにおける都市鉄道と沿線開発の課題と展望について、議論が行われました。
まず、Sorapong局長から、昨年4月に創設されたタイ運輸省鉄道局のミッションに関する紹介があり、福田教授からは、バンコク首都圏都市鉄道マスタープラン改定(M-MAP2)に参画した経験から、「バンコクではどういう街を創っていくか」というコンセプトが抜けていたこと、森地所長からは、バンコクの鉄道駅には駐車場はあるが駅前広場がないことなど、バンコクでTODを進めていくための課題について、それぞれ指摘がありました。
続いて、将来展望を話題とし、Sorapong局長から、バンスー駅やマッカサン駅の開発計画が紹介され、TODの方針が説明されました。福田教授からは、マスタープラン策定における鉄道の需要予測に関する重要性が指摘され、森地所長からは、BRTやLRTは輸送容量が小さく、アジアの大都市では間違った容量の鉄道システムを導入しないことや、運賃設定の考え方について、説明がありました。
また、会場参加者からの質問により、鉄道局に対するTODへの期待に関する議論が行われました。モデレータの日比野准教授の「タイでのTODの成功を祈念する」という言葉で、パネルディスカッションを締めくくりました。