ポストコロナのインバウンド“Every cloud has a silver lining”
- 運輸政策セミナー
- 観光
第68回運輸政策セミナー「Nextインバウンド」シリーズvol.3(オンライン開催)
日時 | 2020/12/18(金)15:00 ~17:00 |
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開催回 | 第68回 |
テーマ・ プログラム |
ポストコロナのインバウンド“Every cloud has a silver lining” |
講師 | 講師: 辻村 由佳 (一財)国際観光サービスセンター 成田国際空港ツーリストインフォメーションセンター所長、 観光庁Visit Japan大使 コメンテータ: 小島 克巳 文教大学国際学部国際観光学科教授、 運輸総合研究所 客員研究員 <質疑応答> モデレータ: 山内 弘隆 運輸総合研究所 所長 |
開催概要
長いトンネルの先に光があるのかさえ分からない時代。2020年のオリパラは延期となってしまったが、オリパラが決まってからのインバウンドの動きには大きな違和感を覚えていた。長年インバウンドにかかわってきた経験から、ポストコロナのインバウンドはどうなっていくのかを予想し、過去の反省をもとにインバウンドプロモーションや受け入れはどうあるべきかを考えた。インバウンド客は必ず戻る!希望をもって備えよう。プログラム
開会挨拶 |
宿利 正史 開会挨拶 |
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講 師 | |
コメンテータ | |
閉会挨拶 |
当日の結果
辻村講師から、『ポストコロナのインバウンド“Every cloud has a silver lining”』というタイトルでご講演いただきました。ポイントは次のとおりです。
・COVID-19後は旅行者の回復も段階的となり、観光施策なども以前と同じやり方には戻れない。この機会にインバウンド観光のあり方を見直す必要がある。
・観光業界でもマーケティングの視点を取り入れるようになってきたが、訪日外国人旅行者が魅力的に思う日本を演出し、KPIなどの数字を追うことが主流になった結果、日本の魅力が画一的になっていた。観光市場が成熟すると「お客様の要望を手軽に満たそう」という方向に流れ、魅力が半減してしまう傾向にあることを自覚する必要がある。
・これからのプロモーションでは、飾らないあるがままの日本の魅力を磨くことが重要であり、過剰な宣伝・装飾や行き過ぎた受入れ環境整備を行う必要はない。旅行の質を向上させ、リピーターを増やすことが重要。
・今後主流となる旅行形態は、「サスティナブルトラベル」「スロートラベル」「地方シフト」「テーマ旅行SIT」。サスティナブルトラベルでは、旅行者も持続可能な開発目標に向けて貢献していると自覚できるよう、観光収入の一部を環境・生態系の保護などに充てる仕組みを作り、可視化すべき。スロートラベルは、ゆっくり滞在し観光と生活を楽しむスタイルであり、地域の再発見や新しい観光地を見出す必要がある。地方シフトは、交通アクセスが課題のため、観光型MaaSなどにインバウンド旅行者の視点も入れるべき。テーマ旅行SITは、リピーターの中にはテーマを持って旅行する人がいて、回復が早い傾向にある。
・リピーターを増やすための3つのキーワードは、「思いがけない発見」、「想像力をかき立てるワクワク感」、「人生を豊かにする体験」。旅行者はこれらの経験をすると、また来たいと思い、リピーターになる。さらに、「思いがけない発見」と「想像力をかき立てるワクワク感」のヒントになるのは、「背景にあるストーリーの発信」と「地域の再発見」。文化や物事の背景を知ると見え方が変わり、想像が膨らんでワクワクの種になる。
・その事例として、神社の鳥居やお雇い外国人、上花輪歴史館などについて紹介。
その後、コメンテータの小島教授から、以下に関するコメントがありました。
・UNWTOやIATA等の調査を踏まえると、訪日外国人旅客数の回復には相応の時間を要すると考えられる。一方で、日本が高い評価を得ている清潔さを維持すると共に、正確な情報発信、体験型観光のニーズを満たすための準備を進めていく必要がある。
・COVID-19後のインバウンドの受入れに当たって重要な点は、受入れ側である地域住民の受容性に関する点と、「量」から「質」の転換としてリピーターをいかに増やしていくかという点である。
・COVID-19の教訓として、観光ビジネスの脆弱さが露呈しており、COVID-19後の観光人材に求められることは、観光ビジネスの常識にとらわれない発想である。
その後、山内所長がモデレーターとなり、対談を行うとともに、視聴者からも質問を受け付け、主に以下のような議論がなされました。
・インバウンドとは訪日外国人だけはなく、国内の他地域から来る人なども含まれる。
・新旧織り交ぜたハイブリットな文化をリスペクトして語ることができる、新しい視点を持った人材の育成が重要。
・リピーターの行き先には特徴があり、どの国の旅行者がどのような地域・場所に興味を持つのかを見ていく必要がある。
・清潔さのアピールとして、国や地域による認証も重要。
・観光の「質」が変化していく中、日本の観光の強さを維持するには、新しいツーリズムの提案が重要。それによってリピーターが増え、日本への理解も深まる。
ライブ配信の開催でしたが、大学等研究機関や観光関連の事業者をはじめ、幅広い分野から250名を超える参加者があり、盛会なセミナーとなりました。
・COVID-19後は旅行者の回復も段階的となり、観光施策なども以前と同じやり方には戻れない。この機会にインバウンド観光のあり方を見直す必要がある。
・観光業界でもマーケティングの視点を取り入れるようになってきたが、訪日外国人旅行者が魅力的に思う日本を演出し、KPIなどの数字を追うことが主流になった結果、日本の魅力が画一的になっていた。観光市場が成熟すると「お客様の要望を手軽に満たそう」という方向に流れ、魅力が半減してしまう傾向にあることを自覚する必要がある。
・これからのプロモーションでは、飾らないあるがままの日本の魅力を磨くことが重要であり、過剰な宣伝・装飾や行き過ぎた受入れ環境整備を行う必要はない。旅行の質を向上させ、リピーターを増やすことが重要。
・今後主流となる旅行形態は、「サスティナブルトラベル」「スロートラベル」「地方シフト」「テーマ旅行SIT」。サスティナブルトラベルでは、旅行者も持続可能な開発目標に向けて貢献していると自覚できるよう、観光収入の一部を環境・生態系の保護などに充てる仕組みを作り、可視化すべき。スロートラベルは、ゆっくり滞在し観光と生活を楽しむスタイルであり、地域の再発見や新しい観光地を見出す必要がある。地方シフトは、交通アクセスが課題のため、観光型MaaSなどにインバウンド旅行者の視点も入れるべき。テーマ旅行SITは、リピーターの中にはテーマを持って旅行する人がいて、回復が早い傾向にある。
・リピーターを増やすための3つのキーワードは、「思いがけない発見」、「想像力をかき立てるワクワク感」、「人生を豊かにする体験」。旅行者はこれらの経験をすると、また来たいと思い、リピーターになる。さらに、「思いがけない発見」と「想像力をかき立てるワクワク感」のヒントになるのは、「背景にあるストーリーの発信」と「地域の再発見」。文化や物事の背景を知ると見え方が変わり、想像が膨らんでワクワクの種になる。
・その事例として、神社の鳥居やお雇い外国人、上花輪歴史館などについて紹介。
その後、コメンテータの小島教授から、以下に関するコメントがありました。
・UNWTOやIATA等の調査を踏まえると、訪日外国人旅客数の回復には相応の時間を要すると考えられる。一方で、日本が高い評価を得ている清潔さを維持すると共に、正確な情報発信、体験型観光のニーズを満たすための準備を進めていく必要がある。
・COVID-19後のインバウンドの受入れに当たって重要な点は、受入れ側である地域住民の受容性に関する点と、「量」から「質」の転換としてリピーターをいかに増やしていくかという点である。
・COVID-19の教訓として、観光ビジネスの脆弱さが露呈しており、COVID-19後の観光人材に求められることは、観光ビジネスの常識にとらわれない発想である。
その後、山内所長がモデレーターとなり、対談を行うとともに、視聴者からも質問を受け付け、主に以下のような議論がなされました。
・インバウンドとは訪日外国人だけはなく、国内の他地域から来る人なども含まれる。
・新旧織り交ぜたハイブリットな文化をリスペクトして語ることができる、新しい視点を持った人材の育成が重要。
・リピーターの行き先には特徴があり、どの国の旅行者がどのような地域・場所に興味を持つのかを見ていく必要がある。
・清潔さのアピールとして、国や地域による認証も重要。
・観光の「質」が変化していく中、日本の観光の強さを維持するには、新しいツーリズムの提案が重要。それによってリピーターが増え、日本への理解も深まる。
ライブ配信の開催でしたが、大学等研究機関や観光関連の事業者をはじめ、幅広い分野から250名を超える参加者があり、盛会なセミナーとなりました。