新型コロナウィルス感染症による航空業界への影響およびその対応策
- 運輸政策コロキウム
- 航空・空港
第136回運輸政策コロキウム
日時 | 2020/8/26(水)15:00 ~ |
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開催回 | 第136回 |
テーマ・ プログラム |
新型コロナウィルス感染症による航空業界への影響およびその対応策 |
講師 | 藤村 修一 運輸総合研究所 客員研究員 全日本空輸株式会社常勤顧問 |
コメンテータ | 山内 弘隆 運輸総合研究所 所長 |
開催概要
昨年11月に中国武漢で発生した新型コロナウィルス感染症は、その後瞬く間に世界に拡大し、各国の国境閉鎖や移動制限、利用者の感染に対する不安感から航空需要は著しく低迷し、世界の航空会社は大幅な減便を余儀なくされている。本講演では、新型コロナウィルス感染症が航空業界に与える影響と、それに対する各国政府、空港会社、航空会社が現在取っている対応策、また今後取るべき方策について議論した。プログラム
開会挨拶 |
宿利 正史 開会挨拶 |
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講 師 | |
コメンテータ |
山内 弘隆 |
閉会挨拶 |
佐藤 善信 |
当日の結果
藤村客員研究員から、『新型コロナウィルス感染症による航空業界への影響およびその対応策』というタイトルでご講演頂きました。ポイントは次のとおりです。
・IATA、ICAO、グローバルアライアンス、航空会社、各国政府による新型コロナウィルス後の動きとして、例えば、IATAの「14日間隔離ルールでは旅行需要を喚起できないことから、出発の24時間前以降出発空港到着前までにPCR検査を受け陰性証明を提出するルールの提案」や、英国の「低リスク国からの入国者に対して自主隔離の義務を免除(リスク・ベースト・アプローチ)」、フランスの「航空会社への融資条件として、CO2排出削減も絡めて、2.5時間以内の鉄道代替手段がある国内路線については運休を求める」といった具体的な事例について紹介があった。
・国際線需要の早期回復のためには、国際的に一貫性があり、利用者・CIQ・空港会社・航空会社に負担をかけない新たなルール作りが必要である。
・具体的には、リスク・ベースト・アプローチや事前PCR検査の導入などにより新たな検疫体制を確立し、14日間の自主隔離を極力回避するルールや、空港及び機内における感染拡大防止に向け、生体認証などの最新テクノロジーの導入を積極的に推進し、非接触型のプロセスを確立することについて提案した。
・ただし、リスク・ベースト・アプローチでは、低リスク国の定義やPCR検査のコスト・時間などの課題もあることが示された。
その後、コメンテータの山内所長からは、藤村客員研究員の講演を踏まえ、以下のような問題提起を行いました。
・移動することに対して、サービスを提供して対価を得るという交通では、需要がなくなった時の、ビジネスリスクをどのように取るのか、あるいはどういう形でそのサービスを維持させるかという点について、改めて考える必要がある。
・感染症自体の将来予測や現状把握が確率に基づいて議論されていることから、確率に基づいたリスク・ベースト・アプローチは、親和性が高いのではないか。
・移動によるリスクと移動による経済的効果というのはトレードオフ関係にある。
・企業の経営が厳しくなった際の雇用問題も重要な課題。
・エアライン、交通、あるいは少し広く言うと公益事業全般が、経済のインフラとして機能しており、このインフラを守っていくこと自体に価値がある。
その後、会場や視聴者からも質問を受け付け、主に以下のような議論がされました。
・現在行われている支援では、航空会社の存続は厳しい。需要回復に4、5年要すると想定すると、事業規模をそのまま維持することは難しく、人員整理や機材売却など、小さく生まれ変わろうとしている。
・コロナウィルスからの回復後、新しい生活様式になったとき、リモートワークやwebでの交流の機会が増え、必ずしも東京、大阪、名古屋などの大都市に人が集中する必要がなくなってくる。地方の活性化や別の新たな可能性が生まれてくることが期待される。
・今後の需要の回復について、国際的な経済活動の活性化は不可欠であり、国際間の移動は戻ると考える。IATAの予測でもアジア圏の航空需要がかなり大きく、経済成長に従って、需要は伸びていく。4、5年かかるか分からないが、伸びることは間違いない。
会場とライブ配信の併用での開催であり、大学等研究機関、国土交通省、地方自治体、観光・交通事業者、コンサルタントなど、680名を超える参加者があり、また、日本のみならず海外からの参加者もあり、盛会なセミナーとなりました。
・IATA、ICAO、グローバルアライアンス、航空会社、各国政府による新型コロナウィルス後の動きとして、例えば、IATAの「14日間隔離ルールでは旅行需要を喚起できないことから、出発の24時間前以降出発空港到着前までにPCR検査を受け陰性証明を提出するルールの提案」や、英国の「低リスク国からの入国者に対して自主隔離の義務を免除(リスク・ベースト・アプローチ)」、フランスの「航空会社への融資条件として、CO2排出削減も絡めて、2.5時間以内の鉄道代替手段がある国内路線については運休を求める」といった具体的な事例について紹介があった。
・国際線需要の早期回復のためには、国際的に一貫性があり、利用者・CIQ・空港会社・航空会社に負担をかけない新たなルール作りが必要である。
・具体的には、リスク・ベースト・アプローチや事前PCR検査の導入などにより新たな検疫体制を確立し、14日間の自主隔離を極力回避するルールや、空港及び機内における感染拡大防止に向け、生体認証などの最新テクノロジーの導入を積極的に推進し、非接触型のプロセスを確立することについて提案した。
・ただし、リスク・ベースト・アプローチでは、低リスク国の定義やPCR検査のコスト・時間などの課題もあることが示された。
その後、コメンテータの山内所長からは、藤村客員研究員の講演を踏まえ、以下のような問題提起を行いました。
・移動することに対して、サービスを提供して対価を得るという交通では、需要がなくなった時の、ビジネスリスクをどのように取るのか、あるいはどういう形でそのサービスを維持させるかという点について、改めて考える必要がある。
・感染症自体の将来予測や現状把握が確率に基づいて議論されていることから、確率に基づいたリスク・ベースト・アプローチは、親和性が高いのではないか。
・移動によるリスクと移動による経済的効果というのはトレードオフ関係にある。
・企業の経営が厳しくなった際の雇用問題も重要な課題。
・エアライン、交通、あるいは少し広く言うと公益事業全般が、経済のインフラとして機能しており、このインフラを守っていくこと自体に価値がある。
その後、会場や視聴者からも質問を受け付け、主に以下のような議論がされました。
・現在行われている支援では、航空会社の存続は厳しい。需要回復に4、5年要すると想定すると、事業規模をそのまま維持することは難しく、人員整理や機材売却など、小さく生まれ変わろうとしている。
・コロナウィルスからの回復後、新しい生活様式になったとき、リモートワークやwebでの交流の機会が増え、必ずしも東京、大阪、名古屋などの大都市に人が集中する必要がなくなってくる。地方の活性化や別の新たな可能性が生まれてくることが期待される。
・今後の需要の回復について、国際的な経済活動の活性化は不可欠であり、国際間の移動は戻ると考える。IATAの予測でもアジア圏の航空需要がかなり大きく、経済成長に従って、需要は伸びていく。4、5年かかるか分からないが、伸びることは間違いない。
会場とライブ配信の併用での開催であり、大学等研究機関、国土交通省、地方自治体、観光・交通事業者、コンサルタントなど、680名を超える参加者があり、また、日本のみならず海外からの参加者もあり、盛会なセミナーとなりました。