ワシントン国際問題研究所(JITI)と米国公共交通協会(APTA)との共催セッション「沿線開発による収益機会の創造」

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  • 鉄道・TOD

Supported by 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION

日時 2019/6/25(火)
テーマ・
プログラム
沿線開発による収益機会の創造
講師 講演:村上 祐二  東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部品川まちづくり部門品川都市計画グループリーダー
   山口 堪太郎 東京急行電鉄株式会社  都市経営戦略室 戦略企画グループ課長

パネルディスカッション
モデレーター:サーシャ・ペイジ IMGレベル・ワシントンDC・代表
パネリスト :講演者に加え、
       ケビン・デズモンド バンクーバー都市圏交通局(Translink)CEO
       ヘザー・マクキロップ デンバー地域交通局(RTD)CFO

開催概要

 2018年10月にワシントンDCの米国公共交通協会(APTA)本部において、運輸総合研究所及びワシントン国際問題研究所の宿利会長とAPTAのスコウテラス会長の会談が行われ、両者の連携強化が合意されました。
本共催セッションは、その合意に基づき具体化された最初の事業です。

 米国においては、広大な土地の存在、道路整備の進展等を背景に、自動車に依存した都市が形成されてきましたが、近年、都市のサステイナビリティ向上、交通渋滞対策などの見地から、鉄道など公共交通志向型の都市開発(Transit-Oriented Development, TOD)が提唱され、実践に移されています。また、TODの一環として、開発利益を交通整備財源として活用する制度(Value Capture)も様々に試みられています。

 本共催セッションでは、APTA鉄道総会の機会を捉えて、日本・北米の鉄道事業者等を招聘し、都市鉄道整備と沿線開発の成功事例や事業推進の課題等について考察しました。

プログラム

挨拶
ポール・スコウテラス <br> 米国公共交通協会 会長

ポール・スコウテラス 
 米国公共交通協会 会長

挨拶
宿利 正史 <br>  JITI/一般財団法人 運輸総合研究所 会長

宿利 正史 
  JITI/一般財団法人 運輸総合研究所 会長

挨拶文

来賓挨拶
ジェーン・ウィリアムズ <br>  米国連邦公共交通局長官代行

ジェーン・ウィリアムズ 
  米国連邦公共交通局長官代行

来賓挨拶
伊藤 恭子 <br>  在トロント日本国総領事<br>

伊藤 恭子 
  在トロント日本国総領事

講演
村上 祐二<br> 東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部<br> 品川まちづくり部門 品川都市計画グループリーダー

村上 祐二
 東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部
 品川まちづくり部門 品川都市計画グループリーダー

講演
山口 堪太郎<br> 東京急行電鉄株式会社 都市経営戦略室<br> 戦略企画グループ課長

山口 堪太郎
 東京急行電鉄株式会社 都市経営戦略室
 戦略企画グループ課長

 

パネルディスカッション

モデレーター
サーシャ・ペイジ<br> IMGレベル・ワシントンDC・代表<br>

サーシャ・ペイジ
 IMGレベル・ワシントンDC・代表

パネリスト
ケビン・デズモンド <br>  バンクーバー都市圏交通局(Translink) CEO

ケビン・デズモンド 
  バンクーバー都市圏交通局(Translink) CEO

パネリスト
ヘザー・マクキロップ <br>  デンバー地域交通局(RTD)CFO

ヘザー・マクキロップ 
  デンバー地域交通局(RTD)CFO

パネリスト

村上 祐二 (講演者)  
 東日本旅客鉄道株式会社 事業創造本部品川まちづくり部門品川都市計画グループリーダー
山口 堪太郎 (講演者)
 東京急行電鉄株式会社  都市経営戦略室 戦略企画グループ課長

当日の結果

 東日本旅客鉄道株式会社の村上グループリーダー、東京急行電鉄株式会社の山口課長から、両社における沿線開発や駅周辺開発の経緯や今後の計画等について講演いただきました。

 【村上グループリーダーによる講演のポイント】
   東日本旅客鉄道株式会社の会社概要を説明いただいた後、駅構内事業、ショッピングセンター、オフィス、ホテル、広告事業、地方都市
  の活性化など生活サービス事業に関する組織・概要・成長ビジョンについて解説いただきました。
   また、東京駅の事例として、100年の歴史を持つ丸の内駅舎の復元を行うために、東京駅の余剰となる容積を周辺のビル等に移転し、
  建替え費用を捻出したことを紹介いただきました。
   さらに、品川開発プロジェクトを例に取りながら、公共交通志向型のまちづくりとして、①高輪ゲートウェイ駅新設やバス・タクシーへ
  の乗継など公共交通の整備、②歩行者デッキによる歩行者の回遊性の向上、③オフィス・商業施設・ホテル・コンベンションなど複合的な
  都市機能の整備を推進していることについて講演いただきました。

 【山口課長による講演のポイント】
   東京急行電鉄株式会社の会社概要を説明いただいた後、世界の乗降客数ランキングの上位20駅のうち17が日本の駅であるなど公共交
  通利用者が多いこと、鉄道が黒字であるという前提が不動産事業等に好影響を及ぼしていることなど、日本で民間の鉄道事業者が持続的な
  沿線開発を推進可能な理由について解説いただきました。
   また、総面積約11ヘクタールという民間の規模では都内最大級である二子玉川駅の再開発について、優良な商業・住宅に、働くとか遊
  ぶといった新たな機能が加わり、資産価値・利益・乗降人員など多くの要素が向上したことを紹介いただきました。
   さらに、4社9路線が乗り入れる渋谷駅の再開発を例に取りながら、乗換・交通広場・まちの分断など様々な課題の解決に向けて再開発
  を行い、多様な人が交わる場所やコミュニティの形成が進んでいること等について講演いただきました。

 【パネルディスカッションのポイント】
   鉄道事業者にとっての不動産市場の変動リスクの軽減方策、鉄道事業者による適正価格の住宅提供の在り方、沿線開発における鉄道事業
  者と地方公共団体・民間事業者等との間の協議の重要性など、活発な意見交換が行われました。

 当日は、ジェーン・ウィリアムズ・米国連邦公共交通局(FTA)長官代行、伊藤恭子・在トロント日本国総領事に来賓挨拶をいただくとともに、米国運輸省(DOT)、在トロント日本国総領事館、北米・日本の公共交通事業者、トロント日本商工会会員企業など約140名の方々に参加いただき、盛況なセッションとなりました。

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◆当日の様子◆

ハイライト

  
開会挨拶と来賓挨拶                プレゼンテーション                パネルディスカッション

詳 細:JITIのHP(英語)動画あり

URL:https://www.japantransport.com/2019-apta-jiti-session-rail-confere