The 13th JTRI-KOTI Joint Seminar 2017

  • 国際活動

Supported by 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION

主催 一般財団法人運輸総合研究所
韓国交通研究院(KOTI)
日時 2017/8/23(水)
会場・開催形式 運輸総合研究所 (東京)
開催回 第13回

開催概要

 JTRI-KOTI Joint Seminarは、日本と韓国の運輸交通分野の研究等について意見交換を行い、当該分野における両国の発展を目的としたセミナーである。
 セミナーは日韓が交互に幹事国となり第13回目となる今回は東京での開催となった。
 韓国側は、政府機関である韓国交通研究院(KOTI)から李院長を含め6名の研究員が参加した。一方、当研究所から山内弘隆運輸総合研究所所長を含め16名の研究員等が出席した。
 セミナーは、3つのセッションに分けて行い、それぞれのセッションで日韓双方の研究者が発表を行うとともに、コメンテータからの意見も交え、闊達な議論が展開された。また、李院長、山内所長により、引き続き交流を促進するためのMOUの締結も行った。

  1. ――セッション1:防災システム
     日本側からは、鉄道を中心とした自然災害管理システムの枠組みや対策について紹介した。
     韓国側からは、韓国における自然災害の特徴と対策について発表された。具体的には、災害による人的被害や物的損害を最小限に抑えるための交通災害管理(TDM)について、輸送機能を確保するための輸送計画、監視などの体制や災害時の対応を管轄する組織の運営管理について発表があった。
  2. ――セッション2:緊急時の対応措置
     日本側からは、災害時の空港の役割の重要性を整理するとともに、災害時に空港がなすべき対応の枠組みと能力の強化について提案を行った。
     韓国側からは、都道府県レベルの道路を対象とした災害時の緊急ルートの設定について、スピード、アクセシビリティ、多様性という3つの基準に基づいたルート選択の方法について提案があった。ルート設定は、道路の幾何学的特性、運行特性、階層的特性の3つの選択要素に基づき設定するとともに、各要素の相対的重要度は、AHP(Analytic Hierarchy Process)手法を使用して評価している。
  3. ――セッション3:災害時の観光・交通の影響緩和
     日本側からは、2015年の箱根山噴火警戒レベルの引き上げと2016年の熊本地震の前後の観光客の推移について、ビッグデータなどを用いて分析を行うとともに、観光客の減少対策として政府による支援の事例などを紹介した。
     韓国側からは、災害発生時のビッグデータの解析について紹介があった。ビッグデータの活用による被災者の正確な場所の特定、必需品の把握、適切な輸送モードやルートの活用による迅速な救助方法など、災害時のデータの活用方法について発表が行われた。ビッグデータの情報源は、スマートフォンとなることから、災害時もモバイルネットワークの維持が不可欠であると示された。

(とりまとめ:深作和久、新倉淳史)

プログラム

開会挨拶(13:30~13:40)

山内弘隆
運輸総合研究所所長

Chang Woon LEE
韓国交通研究院院長

MOU締結(13:40~14:00)

セッション1:防災システム(14:00~15:10)

交通分野における防災のための法的・組織的措置
Changhwan MO
韓国交通研究院主任研究員

鉄道分野における自然災害マネジメント
大堀勝正
運輸総合研究所研究員

コメンテータ
林田拓人
運輸総合研究所主任研究員
Jun LEE
韓国交通研究院研究員
セッション2:緊急時の対応措置(15:10~16:20)

緊急ルートの指定と利用に関する研究
Jun LEE
韓国交通研究院研究員

災害対応における空港運営を強化するためのモデル開発
崔 善鏡
運輸総合研究所研究員

コメンテータ
五十嵐達哉
運輸総合研究所研究員
Sangjin HAN
韓国交通研究院主任研究員
セッション3:災害時の観光・交通の影響緩和(16:40~17:50)

ビッグデータと災害管理
Sangjin HAN
韓国交通研究院研究員

自然災害が観光と対策に及ぼす影響
坪井史憲
運輸総合研究所主任研究員

コメンテータ
崔 善鏡
運輸総合研究所研究員
Changhwan MO
韓国交通研究院主任研究員
閉会(18:00)