運輸総合研究所の設立50周年によせて

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 一般財団法人 運輸総合研究所は、2018年 (平成30年) 10月をもって、設立50周年を迎えました。この間、当研究所の活動に対し、ご理解、ご支援、ご協力をいただいた多くの関係者の皆様に心から御礼申し上げます。

 振り返りますと、50年前、我が国の経済は目覚ましい発展を遂げつつありましたが、反面、運輸部門には、合理的な交通体系の整備、物流の近代化・合理化、都市交通対策、地域開発に即応する交通施策等、数多くの困難な問題が顕在化し、その解決が迫られておりました。このため、1968年 (昭和43年) に、政府、経済界、学界の協力のもと、運輸交通政策を総合的に研究、調査する機関として「財団法人 運輸経済研究センター (JTERC)」が設立されました。爾来、法人の名称や組織は変遷しましたが、設立以来一貫して、我が国の運輸交通政策の策定の基礎を支え、運輸交通産業に有益な識見や情報を提供し、鉄道、空港、港湾等のインフラの整備や運輸交通サービスの充実・向上等に幅広く貢献してまいりました。

 また、1980年代に激しくなった日米間の貿易摩擦問題や運輸交通政策に関する諸課題への対応と相互理解の促進のため、前身のワシントン事務所を経て、1993年 (平成5年) には、当研究所の米国における活動拠点として、「ワシントン国際問題研究所 (JITTI、現在のJITTI USA)」を設立しました。それ以来、JITTI USAは、ワシントンD.C.をはじめ米国内各地において、運輸交通に関する諸課題を適宜採り上げ、日米双方の識者、実務家を招いたセミナーを開催するなど、日米両国の運輸交通関係者の相互理解と情報交換の促進に寄与してまいりました。

 このように、当研究所は設立当初より、運輸交通に関するシンクタンクとして、政策提言や研究・調査、各種セミナーの開催等に精力的に取り組んでまいりましたが、現在、世界は急速に変化し、また、経済社会環境も、新たなテクノロジーの発展とともに大きく変わろうとしています。

 当研究所としては、世界や日本のダイナミックな動きや構造的な変化を的確に見据えたうえで、統一的な方針に基づき、戦略的、機動的な運営を図ることにより、
(1) 当研究所に期待されるニーズに、より一層即した活動に集中し、
(2) 当研究所の活動の質を高めて、より一層「世の中の役に立つ」ことを目指し、
(3) 同時に、国際的な活動や国際連携を、より一層強化します。

 またこの機会に、「J」のフォルムで様々な運輸交通及び観光の向上を表すとともに、情報を統括し発展を支えていくイメージをデザインしたロゴマークを新たに制定し、併せて、当研究所の活動の柱の一つとして「観光」が含まれることを明らかにするため、当研究所の英語名称を「Japan Transport and Tourism Research Institute (JTTRI)」と改めることで、国内外に対して当研究所のミッションを明確にいたしました。その上で、このたび当研究所のホームページを一新いたしました。

 私ども運輸総合研究所は、設立50周年を機に、あらためて「学術研究と実務的要請の橋渡し」という設立の原点に立ち戻り、研究・調査体制の強化を図りつつ、現代社会が直面する、また、将来抱えることとなる諸課題の解決に貢献すべく、果敢に、かつ着実に、活動に取り組んでまいります。

 当研究所の役職員一同、新たなステージに向けて、心を新たにし、幅広い各界の皆様との緊密な連携のもと、さらに専心努力する所存でございますので、今後ともなお一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2018年10月1日
一般財団法人運輸総合研究所 会長
宿利 正史